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2022年に読んだおすすめの本5冊

この7月から、1ヶ月3冊本を買う(借りる)というルールを続けてきた。

そこで、今年読んでとくに印象に残った、おすすめの5冊を紹介する。ジャンルはいろいろ。
私が2022年に読んだだけで、2022年に発売したというわけではありません。

ショーペンハウアー『読書について』

人生を読書についやし、本から知識をくみとった人は、たくさんの旅行案内書をながめて、その土地に詳しくなった人のようなものだ。
ショーペンハウアー『読書について』より

1ヶ月3冊とか言ってごめんなさい。思考停止してました。
と、謝り続けながら読み切った一冊。

ショーペンハウアーはこの本の中で、読書は他人の頭で考えてもらうことだ、と繰り返す。ただ読むだけでは何ひとつ自分の頭で考えていない。
だから、この本を鵜呑みにしてごめんなさいごめんなさいと言って読んでいる私は、何もわかっていないと叱責されるだろう。

でもなぜだろう、ズバズバとものを言うのに、いやな感じがしない。
きつくて厳しいことを言っているのに、なぜか集中して話を聞いてしまう先生がときどきいるが、あんな感じ。説得力があるからか。

読書への向き合い方をあらためて考えるきっかけになる一冊だった。

レジー『ファスト教養』では、「コスパよく教養を身につけてビジネスで成功しようぜ!」といった社会の流れに警鐘を鳴らしていた。
他人の知識をアクセサリー的に身につけるだけでは、教養とは言えないんじゃないか、という点で、本書の主張と通ずるところがありそうだ。

読書好きな方にはぜひ。

朝井リョウ『そして誰もゆとらなくなった』

頭空っぽで楽しめる本の決定版!
『そして誰もゆとらなくなった』作品紹介より

ショーペンハウアーが呆れている。
考えるどころか頭空っぽにするんだから。

でもいいじゃん面白いんだから。頭空っぽで笑えるんだから。学ぶだけが読書じゃないんだから!(これは著者に失礼?)

朝井リョウさんの「ゆとり」エッセイシリーズの第3弾。
私はこのシリーズが大好き。待望の続編。

ゆとり世代!を見せびらかしながら、かつて「リア充」と言われていたであろうハジけた学生時代を過ごし、ふと気づけば誰もゆとりなんてぶらさげてない。それでもゆとりの名残や自意識を引きずったままを今を生きる…

一通り笑った後、こんなにも自意識や失敗をおもしろおかしく書けるってすげーな、と尊敬の念を抱いてしまうほど魅力的な文章。
こんな文章を書いてみたい、と憧れてしまう。

読んでいると本当に吹き出してしまうので、マスク必須。
ただ笑いたい人におすすめ。

マシュー・サイド『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

失敗から学習しない朝井リョウさんのエッセイで笑った後は、失敗をどう次に活かすかを考える。(ショーペンハウアーを横目で見る)

医療ミスなどの世界のさまざまな失敗の事例を取り上げ、なぜそれが起きたのか、その後改善されないのか、そのプロセスを明らかにする。
そこには失敗から学ぼうとしない人々や組織の根深い問題がある。

ビジネス書ってなんとなく敬遠していたが、面白さを知った一冊。

小熊英二『日本社会のしくみ』

分厚い新書。
500ページくらい。

自分のキャリアや専門性に不安を抱いて転職した7月。
終身雇用を前提とした組織の人事と、自分のキャリアプランが噛み合わなくなった気がした。
かといって、転職して解決されるような簡単な話ではなかったが。

じゃあこれからどうするのか、それは自分で考えなきゃいけない。
その上で、社会がどのような経緯でこのようなしくみになっているのかを知ることはとても大事だと思う。

今の自分の働き方になんとなくもやっとしている人はぜひ。

チョン・セラン『フィフティ・ピープル』

タイトルのとおり、50人の登場人物の短編集。
とある病院を中心とした50人の物語が、ちょっとつながっていたりつながっていなかったり。でもやっぱりつながっていたり。

50人もいれば、ばちっと共感できて感情移入してしまう人がいる。
私はとくに、親目線の物語がぐっときた。
まだ子どももいないのに。

登場人物たちの、言葉にはしない、心の中での一言が絶妙で。

初めての韓国文学。
とてもよかった。

あたたかくなれる一冊。寒ーい年末年始にぜひ。

おわりに

今回紹介した5冊の中に気になる本があれば、ぜひ年末年始に手に取ってみてほしい。

よいお年を。

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