20世紀の歴史と文学(2000年)【最終回】
20世紀最後の年になる2000年は、日本に限らず、アメリカをはじめ世界各地で、ミレニアム・イヤーのお祝いが催された。
ノストラダムスの大予言で何かが起こらないかびくびくしていた1999年も終わり、1999年の大晦日はミレニアム・カウントダウンで盛り上がった。
ディズニーランドのカウントダウンイベントなど、各地のイベントでそれぞれの人が、1000年に一度のミレニアムを迎えたことは幸せだったと思いたい。
また、ミレニアム・イヤーに生まれた赤ちゃんは、その後の成長過程を西暦の下2桁でたどっていくと、年齢が分かりやすい。
今年、その赤ちゃんたちは、25歳になるわけである。
しかし、2000年に生まれたからといって、その人の人生がすべてめでたいとは限らない。
2011年の東日本大震災では小学生だったわけで、大学生時代をコロナ禍で思うように楽しめなかった人もいる。
また、2000年は、1945年の終戦の年に生まれた赤ちゃんが、55才になった年である。
今年、その赤ちゃんは、80才を迎える。
つまり、日本人のほとんどが、戦争を実際に経験したことがないわけである。
一方で、2000年には、ロシアの大統領にプーチンが就任した。
プーチンは、今年72才であるから、私たちと同様に、第二次世界大戦を知らない。
だが、ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦として国土が縮小した過程を目のあたりにしている。当時、プーチンは38才だった。
来週の月曜日、アメリカの大統領に就任するトランプも、今年79才であるから、同じ歴史を見てきた権力者がまた世界各地に影響を与える。
中国の習近平も、今年72才である。
今、日本の政治家で、対等な立場で彼らと対話ができる70代はいるだろうか。
今年の日本は、ほとんどの団塊の世代が後期高齢者(つまり75才以上)に突入する。
ちょっと前の2010年頃には、団塊の世代の大量(定年)退職が大きな話題になったばかりである。
人は、同じ歴史を見てきた者、同じ経験をしてきた者同士でないと、なかなか分かり合えるのは難しい。
他の国のトップは元気なのに、この日本では、目下、たくさんの要介護者があふれ出てくるような時代に突入し、社会保険料の負担は増え、介護業界の人材は不足する一方である。
そうすると、私たちが今できることと言えば、健康に気をつけてなるべく介護のお世話にならずに、自立して生きるすべを身につけることが最優先ではないだろうか。
人との助け合いも大事だが、他人にかまっている余裕すらなくなってくる時代が、すぐそこまで来ているような予感もする。
2000年から数えて25年、今年で第1四半世紀が終わろうとしている。
日本が戦後歩んできた80年を、改めて見直すときである。〈完〉