今昔バス物語(5)

本シリーズも、今日から後半である。1月限定のシリーズなので、あと3回で終わることにする。

さて、今日は、高速バスについて話そう。

今や路線バスでもフリーWi-Fiが導入されているように、高速バスでも、前の人の座席の背もたれの裏に、Wi-Fiの案内表示があったりする。

昔は、Wi-Fiはともかく、高速バスといえば、夜行バスのイメージだった。

終電がなくなり、新幹線も在来線の電車も走っていない時間帯に、主要な高速道路では高速バスが走っていた。

ふだんであれば、就寝時間帯であるから、車内の設備は、寝るための座席さえあればよかった。

今でこそ、JRバスなどは3列独立の座席タイプがほとんどであるが、昔は、JRバスも4列連結座席だった。

満席のときは、通路に折り畳み座席を倒して座るのも当たり前だった。

だから、隣の席に、酒を飲んだばかりの人が乗ってきたら最悪だった。

もうひとつ、今はネット予約を自分がすれば、あらかじめ座りたい座席を指定できることが多い。

ところが、ちょっと前までは、運行するバス会社が座席を決めていて、乗車前にチケットを渡して、座席番号を言われるまではどこの席か分からなかった。

今は、女性の隣が男性にならないように配慮されているが、昔は男も女も座席を選ぶ自由はなかった。

寝ている間に目的地に着き、宿泊費より安く抑えられるメリットはあるが、当時は、車内の快適さまでは保障されていなかった。

シートを倒すこともできなくて、座ったまま長時間寝ていると、腰を痛めることもしょっちゅうあった。

スマホも普及していない時代は、車内のコンセントもないし、読書灯のようなミニライトも付いていなかった場合、「これから消灯します」のアナウンスがあったら、車内は一気に真っ暗になった。

窓のカーテンは、夜間の運行では開けてはいけない決まりだったから、都会のネオンさえほとんど楽しめない。

「ネオン」という言葉も、LEDライトの普及で聞かれなくなったと思うが、時代とともに、高速バスのサービスも、ものすごく充実するようになった。

続きは、明日である。








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