1001日目からの健康論⑨【最終回】
心を健康に保つことは、身体の健康以上に難しいかもしれない。
ストレス発散によって、メンタル不調からの回復を図ることは、それなりに努力すればできる。
ただ、孤独に耐えられない人は、誰かにすがって生きていかなければならず、人からの承認欲求が満たされないと自暴自棄になったり、自殺を考えたりする。
自暴自棄になっている時点で、メンタルは崩壊しかけているのだが、それを制する人がいなかったり、自律的行動が取れなかったりすると、取り返しのつかない事態に陥ることだってある。
やけ酒で酔いつぶれたり、犯罪行為に走ったりするのが、よく挙げられる例である。
また、そこまでひどくはないけれども、親しい友人に久しぶりに会って楽しんだあとに、帰宅して一人になると、一気に寂寥感が襲ってくる場合もある。
長年連れ添った配偶者に先立たれたり、長く付き合っていた恋人に別れを告げられたりして、立ち直れないほどのショックを受ける場合もある。
つまり、アルコールや薬物、人物依存など、メンタルが弱い人は、何かに依存せざるを得ないわけである。
そういう意味では、モノや人に依存せずとも、一人で生きていける人は、孤独に強いことになる。
「モノを買うのもほどほどに、人付き合いもほどほどに。」
私は、こういった「ほどほどに」生きるすべを、最近身に付けたせいか、若い頃に比べると、必要以上にモノを買わなくなったし、人間関係もかなり整理されてきた。
そういう状況になって、さびしく感じるどころかすがすがしい気分を味わえるなら、ストレスフリーな生き方に成功したといえるだろう。
「友達100人できるかな」なんて、幸せの幻想である。
本当の幸せというのは、孤独であろうとなかろうと、自分の心が満たされている状態をいうのだ。
満たされない心は、何によって埋(うず)めるのか。その答えを日々探しながら、建設的な生き方を模索することで、心の平穏は自然と訪れるものではないだろうか。【完】
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