老年期と青年期のはざまで
最近は、50代や60代でも若く見られる人は多い。
特に女性は、そう見られると嬉しいものだが、外見だけ評価されても、動きが鈍くなれば、体の中身は老化へと進んでいる。
分かりやすい例で言うなら、男も女も、歩き方に差が出てくる。
颯爽と街なかをリズミカルに歩ける状態であれば、まだまだ肉体的な衰えは先の話になるが、ひざに負担がかかるほど肥満になったり、足を引きずるような歩き方になったりしていたら、改善が必要である。
私は通勤時に、人混みの中を歩きながら、前を歩く人の歩き方を見ているが、やはり普通に歩いていても、自分の歩速は、けっこう速いことを実感する。
足の速さは何で決まるかというと、一つは身長差である。
身長が高い人ほど、普通に歩いていても歩幅が広いから、速く歩けることは当たり前なのである。
私は、この歳でも168センチは身長がある。
平均的な女性よりは高いほうであり、男性の中では平均よりちょっと低いかもしれない。
それでも、私の歩速が速いのは、ピッチ(=イチニイチニと歩くリズム回数)が多いからである。
まあ、陸上競技部に入っていたので、それはもう習慣になっているのかもしれないが、歩幅✕ピッチ回数で、歩速は格段にアップする。
もちろん、ピッチをそれなりに上げるには、推進力が必要であり、推進力を生み出すには、筋力アップが不可欠である。
ふだん車に乗っている人は、ふだん徒歩通勤している人に比べて、足の筋肉をそれほど使っていない。通勤前や帰宅後に、ウォーキングやランニングをしているならば、同等かそれ以上の筋力はあるかもしれない。
重要なことは、車に頼った生活をし続けていると、歳を取ったときに、あっという間に筋力が衰えてしまうことである。
車を運転できなくなったらバスやタクシーに頼るとなれば、なおさらである。
今の時代は、子どものときからスマホゲームに没頭して、運動量が格段に落ちている人も多い。また、平均的な子どもの視力もかなり悪くなっていると聞く。
歳を取ったときに、目も足も不自由な生活を強いられることを想像できれば、もう少し危機感を持てるとは思うのだが、いかんせん、大人がまず行動で示す世の中にしないと、すぐには状況は変わらないだろう。