法の下に生きる人間〈第32日〉
今から17年前までは、戦後初めて制定された教育基本法が、私たちの生活の中に約60年間、根ざしていた。
その教育基本法の構成は、下記の左側のようになっていた。2006年に改正されたときは、どうなったのか、矢印の右側を見ていただきたい。
前文 → 前文(内容は違う)
第1条(教育の目的) →(教育の目的)
第2条(教育の方針) →(教育の目標)※新項目
第3条(教育の機会均等) →(生涯学習の理念)※新項目
第4条(義務教育) →(教育の機会均等)
第5条(男女共学)※削除 →(義務教育)
第6条(学校教育) →(学校教育)
第7条(社会教育) →(大学)※新項目
第8条(政治教育) →(私立学校)※新項目
第9条(宗教教育) →(教員)※新項目
第10条(教育行政) →(家庭教育)※新項目
第11条(補則) →(幼児期の教育)※新項目
【第7条から移動】→ 第12条(社会教育)
【2006年新設】→ 第13条(学校、家庭および地域住民等の連携協力)※新項目
【第8条から移動】→ 第14条(政治教育)
【第9条から移動】→ 第15条(宗教教育)
【第10条から移動】→ 第16条(教育行政)
【2006年新設】→ 第17条(教育振興基本計画)※新項目
【2006年新設】→ 第18条(法令の制定)※新項目
附則 → 附則
以上である。
いかがだろうか。
「男女共学」が削除され、条文が7つも増えて、新項目が10個、設定されている。
注目すべきは、「家庭教育」と「幼児期の教育」に、国がわざわざ言及していることである。
学校だけではない。家庭も、この法律に関係があるのですよと言っているわけである。しかも、就学前教育に触れているわけだから、なぜここまで法律が踏み込んでくるのかと思うだろう。
また、学校教育のみならず、学校で働いている「教員」についても触れ、「私立学校」でさえも独立した条文となっている。
はっきり言えるのは、国家が求める国民像を実現させるために、この教育基本法で私たちが子どもをどう育てるかを明文化したことである。
【第十条】
父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
【第十一条】
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
続きは明日である。