法の下に生きる人間〈第63日〉
今週は、法律の話は出てこないのかと思っている方もいるだろう。
10月以来の学校教育の話が出てきて、11月に話題にした食品ロスやレジ袋等のプラスチックの話も絡んで、インキの話から水質汚染へと環境問題にテーマが移ってきている。
ちょうど今日から3日間、東京のお台場に近いビッグサイトで、例年注目されているエコプロが開催されている。
インターネットで検索したら、すぐにヒットするはずである。行ったことがない人は、ぜひ行くべきである。
環境問題については、法律云々の話をする前に、今まさに国内の企業がどんな先進的な取り組みをしているか、そして、それを実際に見聞きする子どもたちがどのような反応をしてくれるかを、ナマで見学してみることをオススメする。
私も今日、エコプロに行ってきたが、校外学習で来ているのか、小中高の学校団体がたくさんいたのでびっくりした。
私はエコプロには何度か足を運んでいるが、丁寧にすべての展示ブースを回っていると、すぐに1〜2時間が経つくらい規模が大きい。
朝10時から夕方5時までやっているが、ランチのお店もビッグサイト内に充実しているので、お昼をまたいで、ゆっくり見て回るとよいだろう。
さて、今日は、PL法の話をしよう。
レジ袋にしても、絵の具にしても、それは、私たち人間が生み出した「製造物」である。
ただ、いったん製造したものが消費者に提供されると、それが人間の体内に入ったり、排水などのゴミ類として捨てられたりする。
下痢など身体症状の異変が起きたり、海や川が汚染されたりすると、製造者はそれについて賠償する責任が生じる。
それが製造物責任法(=PL法)である。英語表記は、「Ploduct Liability」である。
この法律は、意外にも歴史が浅くて、1995年7月1日に施行された。つまり、まだ30年も経っていない。
そして、法律の条文は、たったの6条しかない。
なぜそんなに少ないのかというと、最後の第6条を読むと分かる。以下に示そう。
(民法の適用)
【第六条】
製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
以上のとおり、明治29年(=1896年)に成立した民法の規定に、損害賠償に関するものがあるからである。
ただ、このPL法の施行は、それまでの企業の生産活動に大きな影響をもたらすことになった。
一言で言えば、「過失の有無に関わらず」、企業は製造物の責任を負わなければならなくなった。
それに伴って、製品のラベルにも、アレルギーを起こす可能性や取り扱いに注意を要する必要性について明記するなど、ある程度の説明責任(=アカウンタビリティ)も求められるようになったのである。