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【読書ノート】『冬越しのさくら』(『ぎよらん』より)
『冬越しのさくら』(『ぎよらん』より)
町田その子著
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女性の葬儀ディレクターの相原は、仕事中毒のように、仕事に打ち込む。相原が中学2年の頃、母親が、他界し、その葬儀を取り仕切ってくれた、作本というベテランの葬儀ディレクターに出会ったことが、相原が、葬儀屋に就職するきっかけとなっていた。
そんな、作本が、亡くなり、相原は葬儀を準備するというところから、物語は始まる。
"冬越しのさくら"とは?
春の訪れと共に咲き誇る桜の花が、冬の寒さを乗り越えて再び花開くことから、"復活"や"再生"の象徴とされている。また、桜はそのはかない美しさで知られ、満開の瞬間の美しさと散る様子の儚さは、人生の美しさと無常を表しているとも考えられている。これは、日本の伝統的な美意識「物の哀れ」に通じるもので、一瞬の美しさを大切にする心情を反映している。冬越しの桜とは、自然のサイクルと人間の生死や精神を結びつける、深い思索を促す象徴と言える。
物語の主題は何か?
ひとの人生は、"死"と常に隣り合わせにある。人生は有限であるが故に、生きる意義(使命)がある。その使命に早く気づくことは、ある意味、幸せなことなのだと理解した。