【読書ノート】『お花畑自身』(『愛の夢とか』より)
『お花畑自身』(『愛の夢とか』より)
川上未映子著
この短編集は、何かを失うということが、一連のテーマになっているのだけど、この作品は、夫の事業の失敗で、庭付きの戸建て住宅を失うことになった五十代後半の主婦の物語。
キーワードとして、
①「お花畑」とは?
何も考えていなくてめでたい人、楽観的で平和な考え方を持っている人、ふわふわしていて天然ぽい人を指す。そうは言っても、良い意味で使われているわけではない。楽観的な考え方をしている人や、常に「なんとかなるだろう」と考えながら生活をしている人も「お花畑」と言われる。
②「自宅を失う」ということは、何を意味するか?
1. 自宅は自分ののアイデンティティと結びついている。自宅を失うことは、アイデンティティの喪失や不安定さを引き起こす。
2.物質的な喪失であり、人生の目的や意味の喪失でもある。
物語の主題は何か?
凡そ、「物」というものはいずれ朽ち果てるもので、幸せというものは、「物」では手に入らないということ。失ってしまった「物」に執着することに意味はないと理解した。
幸せとは、神様から授かった賜物に早く気づき、自分の役割を全うすることなのだと思う。恵みというものは努力して勝ち取るものではなくて、自然に与えられている。ひとに出来ることは、与えられた時間を喜び、自分が貢献できることを全うすることで、それが、人生の目的かもしれない。
振り返ってみても、人生を決定づけるような大きな幸運は、例えば、自分の誕生、出会ってきた友人、結婚、子どもの誕生など、努力とはほぼ関係ない。不運だと思うこともあるのだけど、いつも、希望を持ち続けることが、幸せに繋がっているように思ったりした。
いつも喜び、絶えず祈り、すべてのことに感謝して日々を歩みたいと思うのです。