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「さがしもの」(短編集『さがしもの』の同名タイトル)

「さがしもの」(短編集『さがしもの』の同名タイトル)
角田光代著


余命いくばくもない祖母のお使いとして、ある本をさがして欲しいと主人公の羊子は、頼まれる。そして、祖母の死後にその本を見つける。という話。

この物語をより深く楽しむためのキーワードを上げる。

①"さがしもの"という言葉は、
人生の目的、真理、幸せ、自己理解など、個々の人生で探し求めている抽象的な目標や価値を象徴する。

②"本"という言葉は、
知識、学習、洞察、想像力、物語、伝承などを象徴する。そして、"本"は人間の思考や経験を伝える手段であり、人間が自己と世界を理解する道具とも言える。また、本は時間と空間を超えて情報を伝達する。

③「死ぬのなんかこわくない。死ぬことを想像することがこわいんだ。」

人間の意識と想像力が未知の経験、特に死という経験について考えるときの不安や恐怖を示す。

まとめ
本をさがすということは、人が、生きてきた証をさがすこと。人生で起きる様々なできごとは、起こる前は、怖くて、不安なものなのだけど、過ぎてしまえば、単なる出来事にすぎない。そして、その出来事を積み重ねていくことが、人生なのだ。

おばあちゃんは、自分の生きた証となるその本を見たかったというより、羊子に見せたかったのだろう。

本をさがす行為は、書店員となった羊子の生きがいということにもなったということ。

平和で良い話だと思った。

stella jang. choose you

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