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【読書ノート】『ニベア』(『強運の持ち主』より)
『ニベア』(『強運の持ち主』より)
瀬尾まいこ著
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主人公(「私」)は、ルイーズ吉田を名乗る占い師。短大を出て、事務員として就職したものの、半年で会社を辞めてしまい、アルバイトとして、占い師になったところで、物語は始まる。恋愛ものの相談が多い中、ある日、小学3年生の男の子が占いに来たのだった。
キーワードを挙げてみる。
①占い師
1.未知の未来に対する人々の不安を和らげる存在。知識を求める人々が持つ無知への対抗手段として機能する。これは、知識の重要性と、それに対する人間の欲求を反映している。
2.運命や宿命の存在を示唆する一方で、個人の選択や自由意志も強調する。この二項対立は、運命が決まっているのか、個人の選択が重要なのかという問いを引き起こす。
3.時間の流れを超えた視点を持つ存在として、時間の本質や人間の存在についての深い洞察を提供する。
4. 人々に心理的な安心感を与える手段。未来を知ることで、選択に対する自信を持たせたり、不安を軽減させたりする。
②強運
1. 強運は、偶然の産物であると同時に、ある種の必然性を伴うものと考えられる。この二項対立は、運命論と自由意志の議論を呼び起こし、何が偶然で何が必然であるのかという問いを提示する。
2. 果たして運が良いことは、その人の努力や才能の結果なのか、それとも単なる偶然なのか?この問いは、成功の定義や価値観に対する再考を促す。
3. 強運は一時的なものであり、常に変動する可能性がある。このことは、人生の不確実性や変化の本質を象徴しており、運が良い時期と悪い時期の両方を受け入れることの重要性を示唆する。
物語の主題は何か?
運が良いというのは、どういうことなのか?ということなのだと理解した。結局のところ、社会的に成功しているひとの多くは、周りにいる人間との良好な関係を築くもので、これは、運が個人の努力だけでなく、周囲の人々との関係性によっても影響されることを示していると考えられる。つまり、運は孤立したものではなく、社会的な相互作用の中で育まれるものであるということ。
瀬尾まいこさんらしい、どこまでも平和な物語だった。