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【読書記録】『1992年の秋空』
『1992年の秋空』(『家族シアター』より)
辻村深月著
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1992年9月、日本人宇宙飛行士・毛利衛さんが、エンデバー号に乗って宇宙に飛び立った。まさにそんな時代の小学6年生・はるかと5年生・うみかの姉妹の物語。
はるかは、学研の『学習』を定期購読していて、うみかは、『科学』を読んでいる。二人は外見も似てないし、趣味も全く異なる。
うみかの夢は宇宙飛行士といういわゆる理系女子。はるかは、恋愛物語に興味津々な、バランスの良いお姉さん。
逆上がりが出来ないうみかにはるかは、逆上がりの指導をし始めた。明日もやろうと約束をしたのに、友達からのお誘いを断れずに逆上がりの練習に立ち会わなかったその日、うみかは、鉄棒から落下して、骨折する。その骨折が思いの外重症で、手術をして、骨にボルトを埋め込まないといけなくなるかもしれないのだという。身体にボルトを入れるとうみかの宇宙飛行士になるという夢は絶たれてしまう。はるかは、責任を感じる。
物語の主題は何か?
困難な状況に直面しても、家族や大切な人たちとの絆があれば乗り越えられるのだと理解した。
小学生でも読めるような平易でストレートな文章なのだけど、深いところで姉妹の思いやり合う姿を表す文面に電車の中だというのに思わず涙してしまった。
私にも4つ下の弟がいるのだけど、まったく思いやりのない兄だったなあと反省させられる。
辻村さんの心理描写の巧さに感動します。