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【読書ノート】『溺れるスイミー』(『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』)

『溺れるスイミー』(『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』)
町田そのこ著


主人公の唯は、幼少期に父親が家庭を放りだしてしまい、その後、心臓発作でなくなってしまうという過去がある。

唯は、その後、母親と二人で暮らす。高校を卒業して、地元のお菓子工場に勤める。

そんな唯に結婚の話が来た。工場の上司の立野さんだ。
プロポーズを受けてから、唯は、ふと、自分の生き方に疑問を持つ。

そして、トラック運転手の宇崎と出逢う。

宇崎は、トラック運転手という移動することを商売にした人生を送っている。それは、唯のそれまでの人生では、禁じていたまるで亡くなった父親のような生き方だった。

そして、宇崎に惹かれて行く。

キーワードを挙げてみる。
「淵」と「瀬」は、自然の水の流れに関わる言葉。


1. 淵は深い場所を指し、未知や無限を象徴する。

2. 淵は流れのない静かな水を想起させ、安定や静寂を象徴する。



1. 瀬は水が流れ、速い流れを持つ場所を指す。この流れは、変化や動的なプロセスを象徴し、人生や存在の儚さ、一瞬一瞬の経験を強調する。

2. 瀬は流れの激しさから、挑戦や試練を象徴する。人生の中での困難や試練に立ち向かう姿勢、成長の過程を示唆する。

3. 流れの中で起こるさまざまな出会いや影響を通じて、個々の存在が形成される様子を表す。

物語の主題は何か?
人生って、変化の連続で、そんな中をひたすら流れて行くもので、海を目指して真っしぐらに突き進む、「瀬」のような人生もあるのだけど、ときどき現れる澱み、「淵」にとどまりながら進む人生もあるということなのだと理解した。
生きている限り、「共同体」を守ることを認識した生き方とも言えるのかもしれない。

私自身は、ひたすらに川の流れに乗っかってひたすら突き進む人生を歩んでいるような気がしている。

「果てしなき闇の彼方に」の歌詞(荒木一郎作)を思い出した。
(「あしたののジョー」のテーマ曲)
〜見知らぬ川の行く手にも
澱みや滝があるだろう
それでも海が見えるまでは
流れつづけて行くものなのさ〜

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