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【読書ノート】『白いセーター』(『父と私の桜尾通り商店街』より)

『白いセーター』(『父と私の桜尾通り商店街』より)
今村夏子著


フィアンセ(伸樹)との慎ましいお好み焼き屋でのクリスマスを楽しみにしていた主人公のゆみ子。

伸樹の姉、から4人の子供たちのお守りを頼まれる。そして、子どもたちを連れて、教会のクリスマス会にいくという話。

「白いセーター」
伸樹が、ゆみ子に一年前のクリスマスにプレゼントしたもの。汚したくないし、臭いからも守りたいという思いがあって、一年間一度も、着ることが出来なかった。

「ホームレス」
教会には、たびたび、現れるらしい。子どもたちは、汚くて、悪臭を放つホームレスを忌み嫌い、ホームレスが、現れたら、「出て行け!」と叫ぼうと追い出すことを語り合う。

メインテーマは何か?
人は、知らずに罪を犯してしまうということなのだと思う。
白いセーターが、日常生活で汚れてしまわないように大事に袖を通すことなく保管することや、圭一が、汚れの象徴でもあるゴキブリを嫌うように、子どもたちは、汚くて、悪臭を放つホームレスを毛嫌いする。おそらく、子どもたちの言動は、日常的に親が語っていることなのだろう。一つ一つの行いは悪いことではないのだけどね。
白いセーターを大事にするあまり、一度も袖を通さないのでは、セーターは、役目を果たせないし、ゴキブリがウヨウヨいるような飲食店は困るが、あまり、ゴキブリに囚われていると、外食はできなくなるわけで、、
せっかく、教会を訪ねたホームレスを追い返してしまっては、教会の役割が果たせなくなる。

誰もが、自分は、被害者だと思っている状況で、誰も自分の間違いには気づかない。

『星の子』で、宗教について、書かれているだけに、よくわかっているのだろうなあと感心する。
なかなか痛いところを突いてくる物語だと思った。

まあ、現実的に、ホームレスが、教会に来るようなことがあれば、混乱はするだろうけど、最善な状況に変えられていくとは、信じているが、、、

まあ、教会の説教者が、神父と言うところも気になるといえば気になるのだけどね。

stella jang winter dream

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