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【読書ノート】『カエルくん、東京を救う』(『神の子どもはたちはみな踊る』より)

『カエルくん、東京を救う』(『神の子どもはたちはみな踊る』より)
村上春樹著


ある日、片桐(主人公)の前に現れたカエルくん。2月18日の朝8時半頃大地震が東京を襲う。死者は15万人になる。その地震を食い止めるために、片桐に協力を求める。
という物語。

新海誠監督の『すずめの戸締り』のベースとなった小説。

①カエル
1. 変化と変容: カエルは変態を経て成長する姿があり、変化や変容の象徴とされる。人生の周期や成長のプロセスを表す。

2. 再生と再生能力: カエルは一部の種では再生能力を持っており、失った部分を再生することができる。この特性から再生や再生力の象徴とされる。

3. 経験と洞察: カエルはしばしば水辺や湖に生息しており、水は情報や感情の象徴とされる。カエルは知恵や洞察力を持つ存在として、内なる知識や経験に基づいた洞察を表す。

4. 幸運と縁起: 一部の文化では、カエルは幸運や縁起の良い象徴とされる。特に「ヒキガエル」として知られる種は、幸運を招くと信じられている。

②ミミズ
謙虚さや単純さを象徴する存在とされている。地中を掘り進むことで地球を形作り、生態系の健全性を保つ役割を果たしている。その小さな存在が目立たないながらも重要な役割を果たしていることから、謙虚さや控えめな存在と結び付けられる。また、変化や再生の象徴ともされる。ミミズは自らの体を切り離すことで再生する能力を持ち、環境の変化に対応する柔軟性を持っている。この特性から、ミミズは変化や逆境に対する柔軟性や回復力を象徴する存在とされる。さらに、ミミズは地球とのつながりや生命の連続性を象徴する。地中を通じて土壌を改善し、栄養循環を促進するミミズの存在は、生命の絶え間ない連鎖や相互依存のあり方を示唆する。ミミズは地球上の生命との繋がりや生態系の複雑さを象徴することで、生命の不可分性や一体感を考える上での対象となる

③『白夜』
ドストエフスキーの初期作品の一つであり、孤独や情緒の葛藤、都市生活の虚無感などが象徴されてる。また、夢や幻想、非現実的な世界への憧れもテーマとして取り上げられている。

④『アンナ・カレーニナ』
レフ・トルストイの代表作の一つであり、倫理的なジレンマ、道徳的な選択、愛と欲望の葛藤、社会の制約、個人の幸福追求と社会的な責任などが象徴されている。また、不倫や家族の崩壊、社会の階級制度の批判もテーマとして取り上げられている。

⑤ 東京安全信用金庫
片桐が勤める信用金庫。信用金庫は、本来、地域経済の安定と発展を象徴する存在と考えられる。信用金庫は、地域に根ざした金融機関であり、小規模企業や地域住民に金融サービスを提供することで地域経済の支えとなる。東京安全信用金庫が地域の信頼を得て安定的な金融サービスを提供し、地域経済の発展や地域社会の安全を支える存在として象徴される。

キーワードから見えてくること。

謙虚で、地球を象徴する単純なミミズが、巨大化して、地震を起こすという物語は、通常、力や脅威の象徴として解釈される。巨大なミミズは自然の力や破壊的な力を具現化し、人々にとって脅威となる。この物語は、小さなものや弱者が大きな権力や圧力に立ち向かう際の困難さや勇気を示す。また、人間の行動が環境に与える影響や、自然災害の恐ろしさというテーマを象徴する。


地球環境への配慮が、求められていると理解した。

物語の主題は何か?
ひとは、それぞれ、与えられた役割を果たす必要がある。投資家(ここでは、片桐が勤める信用金庫)が、本来の役割として、地域の活性化の役割を果たさなければ、人間社会のバランスが崩壊して、地球環境を含めて、すべては崩壊する。カエルくんは片桐に再生の可能性を見出し、ミミズに対抗するという理解をした。

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