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「青消年の胸の内」先行ちら見せ その3

どもども、明原星和です。

前回に引き続き、文学フリマ福岡10出品作品である「青少年の胸の内」
そちらの先行ちら見せを公開いたします。

前回の記事はこちら▼から

それでは、どうぞ。


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「えと……青消年、倶楽部?」

 木札に書かれていたのは、随分と達筆な「青消年倶楽部」という文字。気になるのは、一般的には青〝少〟年であるところが、青〝消〟年となっていることだ。

「えと、ここの『消』の字を間違ってますよ」

 日本語として間違っている部分を素直に指摘してみると、朝日向先輩はぷくっと頬を膨らませながら「間違ってないよ! ここは正式に『青消年倶楽部』なんだよ!」と発言する。
 音としてはとても聞き馴染みのある「せいしょうねん」だが、文字として見ると途端に違和感を覚えざるを得ない。
 それに、倶楽部と名乗っているということは一応、部として活動していると思うのだが、僕の知る限りだとこの学校に「青消年倶楽部」なんて部活動は存在しない。
 星峰高校は、生徒総数が千を超えるいわゆるマンモス校。
 生徒数の多さに比例するように、部活動の総数も多く種類も豊富だ。
 とりわけ文化部の数が多く、その数は軽く二十を超える。同好会の数も合わせると、その倍くらいか。
 その中には「バードウォッチング部」や「陰陽道研究同好会」といったマニアックで個性的なものも多い。
 一応これでも僕は自称・学校一の情報通。星峰高校の部活動ラインナップは把握しているが、やはり青消年倶楽部なんて名前は見たことも聞いたこともない。

「朝日向先輩。この倶楽部って、きちんと学校から公認してもらっているんですか?」
「いや、非公認よ。だって、私が勝手に作ったんだもの」

 ということは、この部屋も朝日向先輩が勝手に空き部屋を自分の手で改装したというわけか。
 何ともあっさりと校則を違反しているな、この人は。

「学校側にバレないようにこんなことをするなんて、なかなかいい度胸をしているんですね」
「ふふん。私はルールの穴を突いているだけよ。だって、校則には『学校の部屋を勝手に改装してはいけない』なんて項目ないでしょ?」

 いや、そこはモラルというか、明記しなくてもやってはいけないことぐらいわかるでしょ、という一般常識レベルの話だからなのではないだろうか。
 なんてツッコミを入れると、朝日向先輩の頬がまた膨れてしまうような気がしたので、言葉を飲み込み「確かに」と返す。

「それにしても、よくこんな部屋を見つけましたね」
「私のおじいちゃんが昔、この学校の生徒だったの。それで、この部屋の存在を教えてくれたのよ」
「へぇ、そうですか。それでは僕はこれで……」

 流れるようにその場を離れようとすると、「ちょいちょいちょい」と朝日向先輩が僕の腕をガッチリと掴んできた。

「何を自然な流れで帰ろうとしてるのよ」
「だって、教師に見つかって一緒に叱られるなんて嫌ですから」
「お生憎様。この部屋の存在を知り、一歩でも入室した時点で君はもう共犯だよ」

 そこらの詐欺師もびっくりするほどに酷い手口だ。
 立ち去るのを諦めて、おとなしく朝日向先輩に導かれるままに用意された椅子に腰かける。
 僕と向き合うように対面に座った朝日向先輩は、ニコニコと微笑みながらどこか真剣な眼差しでこちらを見つめて話を始めた。

「さて。それじゃ早速、本題に入りましょうか」

 そう言うと、朝日向先輩は僕の胸のちょうど心臓がある辺りを指差した。

「蓮太くん。『消失病』って聞いたことある?」

 またしても聞き覚えのない言葉に「いえ、聞いたことありません」と素直に答えると、朝日向先輩は「そうだろうね」と言葉を続ける。

「ま、一般には知られていない病気だからね。簡単に説明すると、消失病は患った人から〝何か〟を一つ奪ってしまう病気なの」

 何かを一つ奪う病気と言われても、なんだか漠然としすぎている。
 その何かとは例えば、臓器のどれかとか身体機能だとか、そういったものを差しているのだろうか。だとしたらなかなかに凶悪な病だ。
 そんな僕の内心を察したのか、朝日向先輩は「安心して。体の機能とか一部を失ってしまうわけではないから」と述べる。

「消失病が奪ってしまうのはそういうのじゃなくて、もっと概念的なもの。思いやりとか愛情とか、存在感とか」

 朝日向先輩の言葉に、一瞬だけ胸がきゅっとしまったような気がした。
 存在感。それはまさに、僕が長年にわたって失っているもの。
 今までは単に病的なまでに自分の存在感が薄いのだと思っていたが、それが本当に病気のせいなのであれば納得も――まぁ、できるだろう。
 とはいえ、消失病だなんて現実離れした話を手放しで信じることはできない。
 もっとわかりやすくて、確たる証拠がないと朝日向先輩の話を受け入れられない。

「その消失病という病気、本当に存在しているんですか? 言葉だけだと、どうにも信用できなくて」

 そんな僕の言葉を察していたのか、朝日向先輩は流れるような所作で丸テーブルの上に置かれていた布包みから虫眼鏡を取り出した。
 今朝方、朝日向先輩が僕を覗き見ていた虫眼鏡と同じもので、差し出されたそれを僕は受け取る。

「それで、自分の胸を見つめてみて」

 言われるままに虫眼鏡越しに自分の胸を見つめてみる。
 そこに映っていったのは、穴。胸のちょうど心臓がある辺りに、黒い渦のような穴がぽっかりと開いているのだ。
「うわぁ!」と思わず叫び声をあげて、僕は腰を抜かしてしまう。慌てて自分の胸を触ってみるが、そこに穴は開いていない。

「どう? これで信じてくれた?」

 腰を抜かした僕と同じ目線になるように屈んだ朝日向先輩が、悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう述べる。

「い、いったい……今のは?」
「消失病を患った人をこの虫眼鏡で見ると、胸の部分に穴が開いているように見えるのよ」

 そう言うと朝日向先輩は「ほら、私のことも見てみて」と自分の胸をトントンと叩く。
 恐る恐る、虫眼鏡越しに朝日向先輩を見てみると、先ほど僕の胸に開いていた穴と同じものが朝日向先輩の胸にも開いていた。

「……なるほど。とりあえず、その消失病というものが実際に存在しているということはわかりました」

 この目で実際にこのような光景を見せられれば、信じざるを得ない。僕の言葉を聞いて、朝日向先輩は「よかった」と嬉しそうにつぶやく。

「今までの話の通りなら、経験上僕が消失病で失っているのは『存在感』で間違いないですかね」
「ん~、たまに失ったものを勘違いすることもあるけど、君の場合は十中八九そうだろうね」

 やはり、僕のこの病的なまでの存在感のなさは異常だったんだ。
 そのことを知れて、なんだか心中にしこりのように張り付いていた不安が少し剥がれ落ちた気がした。

「ところで、朝日向先輩も消失病にかかっているんですよね。先輩は、いったい何を失っているんですか?」

 ふと疑問に思ったことをそのまま口に出すと、朝日向先輩はおもむろに拳を突き出してきた。

「蓮太くん。私とじゃんけんで勝負しよ」

 突然の提案に戸惑いながら、僕は「いいですけど」と同じように拳を突き出す。

「十回勝負ね。ちなみに、負けた方はこのあとジュース奢りだから」
「はい――って、え? 急すぎませんか?」

 そう口を挟むが、問答無用に「最初はグー!」とじゃんけんの音頭が発せられた。

「じゃんけん、ぽん!」

 一回戦は僕がグーで朝日向先輩がチョキ。「ぐぬぬ」と悔しそうに顔を歪めた朝日向先輩は、続けて二回戦の音頭を取り始める。
 そんな感じで十回戦を終えた。
 結果は、なんと僕の十連勝。
 一度もあいこになることなく、ストレート勝ちをしたのだ。
 少し前に、暇つぶしで見ていたSNSで「じゃんけんで十連勝する確率は、一〇二四分の一である」という投稿を見たことがある。
 そんな奇跡のような確率が、今この瞬間に偶然起きたとは考えにくい。
 ちなみに十連敗を喫してしまった朝日向先輩はというと、悔しそうに歯を軋ませながら、自分の拳をじっと見つめている。

「負けたぁ……やっぱり私は不幸だよ」

 ず~んというエフェクトが目に見えてしまいそうなほどに肩を落としている朝日向先輩。さすがに可哀そうになり慰めの言葉をかけようとすると、その前に先輩は顔をふるふると横に振って、気を取り直してといった様子で言葉を発し始めた。

「これで私が消失病で何を失ったかわかったでしょ」
「えと、もしかして『運』とかですか?」
「正解~! 厳密に言うと『幸運』だね」

 なるほど。幸運を失っているから、運勝負であるじゃんけんで勝つことができなかったのか。
 それにしても、運だとか存在感なんて概念的なものを病気だけでこうも消失させることなんてできるのだろうか。
 いや、現にこうして僕と朝日向先輩は消失病によってそれらを失っているわけだから、消失病の症状は確かなんだろうけど。
 なんというか、現実味のない不思議な病気だな。

「消失病は、思春期の子供に発症する病気で、その人が今までに経験してきた出来事、どんな思い・気持ちを抱いてきたかによって、失ってしまうものも変わってくるの」

 足を組み、顎に手を付いた状態でそう語る朝日向先輩。

「そして、私たちのような消失病を患った人たちを『青消年』と呼び、青消年倶楽部は青消年たちが患う消失病を治すために存在する俱楽部なのよ」

 なるほど。一般には出回っていない消失病を同じ病気に悩む青消年が秘密裏に治療する。だから、青少年ではなく青消年倶楽部というわけか。

「とりあえず、この倶楽部の存在意義は理解しました。そのうえで、二つ質問があります」

 そう言葉にすると、朝日向先輩は目くばせだけで「どうぞ」とこちらの言葉を促してくる。

「まず、なんで消失病は一般には出回っていないんですか? 僕の存在感や先輩の運のなさは明らかに異常です。誰かしらがそのことを違和感に思って、消失病の存在が公になってもおかしくないんじゃないかと思うんですけど」

 朝日向先輩が階段裏の隠れた部屋を無断使用してまで、青消年倶楽部を立ち上げ活動している理由は何となく理解できる。
 消失病が一般に出回っていない以上、教師陣に「消失病に苦しむ子たちを助けたいから」という理由で部活の立ち上げを要請してもきっと通らない。
 わざわざこんな隠れ部屋を無断使用しているのも、消失病が青少年――学生特有の病気であることから、学内で作戦会議やら自由に色々できるスペースが欲しかったからだろう。
 そこまではまだ理解できる。だけど、そもそも消失病が一般に出回っていないことが不思議でならないのだ。

「理由は簡単。消失病は、たとえ患ったとしてもその存在を認知・確認することができないからよ」

 朝日向先輩は、左手人差し指で自身の胸を。右手人差し指で僕の胸を指し示しながら言葉を続ける。

「私や君の胸に空いていた穴。これは、肉眼はもちろんレントゲンやサーモグラフィを使っても見ることができない。今のところ、私がおじいちゃんから受け継いだこの虫眼鏡以外に、この穴を見る方法はないわ」

 言いながら朝日向先輩は机上にコトリと虫眼鏡を置いた。

「それに、消失病の症状は普通の病気のそれとは違う。たとえ異常なほど存在感や運がなかったとしても、それを病気だとは周りや本人も思わない。思っても、影が薄いなとか運がないなとかその程度」

 ポツリ、ポツリと零すように言葉を紡ぐ朝日向先輩。その様子はどこか儚げに感じて、少しだけ俯いた瞳の青は、暗夜のように陰って見えた。

「私たちは確かに苦しんでいるのに、誰にもそのことを知られない。当たり前に過ぎていく青春の日々をただ過ごすことすらできない。それが、私たち青消年よ」

 満足に青春を謳歌することができない。しようと試みても、そのステージに立つことすら許されない。
 空白の青春を生きざるを得ない。だから、青消年か。

「……なるほど、理解しました。では、二つ目の質問です。この『青消年倶楽部』に朝日向先輩以外の所属者はいるんですか?」
「いや、いないよ。私と蓮太くんの二人だけ」

 当たり前のようにこの倶楽部のメンバーに数えられているが、とりあえず今はそれを受け入れておく。

「聞いた感じ、消失病ってかなり恐ろしい病気ですよね。それだったら、周りの協力してくれそうな人に相談して、もっと協力者を増やした方が効率がいいんじゃないですか?」

 消失病を患っている人がいったいどれほどの数いるのか、そもそもどのようにして治療するのかを僕は知らない。
 けれど、ひとつの病気を完治させるというのであれば、それなりの労力は必要だろう。であれば、治療にあたる人数は多い方がいい。
 それをなぜ、初対面で後輩の僕――もっと言えば、治療すべき対象である消失病患者に協力をお願いしてきたのだろうか。

「そうね……。結論から言うと、消失病の存在を認知することができるのは、消失病になったことがある人だけなのよ」

 その言葉を聞いて、僕はついに「そんなバカな」と言葉が零れてしまう。

「患者以外には認知されないなんて。ただでさえ今までの説明もフィクションじみていたというのに」
「事実よ。それに、今更フィクションじみた事が一つや二つ増えたところで、あまり変わらないでしょ」

 まぁ、その言葉はごもっともである。
 そもそも、レントゲンやサーモグラフィで穴を見られないのに、朝日向先輩の持つ古びた虫眼鏡では見ることができるという時点でおかしいのだ。そこに「消失病患者以外には病気を認知されない」という言葉が加わったところで、あまり変わらない。
 どうやら、一般的な病気として消失病を見ることはやめた方がいいな。
 消失病関連の話を聞く際は、脳みそをフィクション映画を見るときと同じくらい柔軟に、情報の受け入れ態勢を整えるべきか。

「私だって、部員が増えてくれればそれだけたくさん動けるし、賑わうしでうれしいよ。だけど、普通の人に消失病は理解できないし、そもそも青消年の数が少ないから、今までずっと私一人で活動してたのよ」
「えと、活動してたということは、朝日向先輩は今までに何人かの青消年を治療してきたんですか?」

 腕を組みながらうんうんと唸りながら言葉を発していた朝日向先輩は、僕の質問に対して「もちろん」とそのままの姿勢で答える。

「それでしたら、治療した方に事情を話して協力してくれるように頼んでみてはよかったのでは? 消失病の存在を認知できるのが消失病になったことがある人だけなら、治療後でも認知はできるはずです」
「……まぁ、それが一番理想の形なんだけどね」

 突然、朝日向先輩の表情が暗く影を落とし始める。

「私ね、消失病の治療を試みたことは何度もあるんだけど、一度だって成功したことはないの」

 朝日向先輩の言葉を聞いて、盲点だったと気付かされる。
 消失病の具体的な治療方法は知らないけれど、仮にも一つの病気を完治させようというのだ。
 そんなの、たった一人で行うにはかなり無理のあることだろう。
 消失病を治すために行動し、結局救うことができずに悔いる。きっと、朝日向先輩は学生時代の貴重な青春の時間を青消年を治療するために費やし、苦しい思いをたくさんしてきたのだろう。
 見ると、わかりにくいが確かに朝日向先輩の手がふるふると震えている。
 先ほどまでキラキラと輝いていて、まるで太陽のようだと思っていた表情も、今では雨雲のようにどんよりと暗く、沈んでいるように見える。
 その様子を見るだけで、朝日向先輩が今までどれほど多くの人を救おうと試み、失敗してきたかが想像できた。

「あはは、ごめんね。なんか暗い感じになっちゃった。ごめんね。急にこんな変な話を持ちかけちゃって。君の消失病は私が絶対に直すから安心して! だから、蓮太くんは無理に――」
「わかりました」

 僕は、朝日向先輩の言葉を切るように言葉を発する。
「え……」と朝日向先輩はショックを受けたような呆けた顔を一瞬浮かべて、すぐに笑顔を作り「そっかそっか。ま、いいんだよ。協力してほしいなんて、私のわがままだもんね」と、震えた喉から精一杯に声を絞り出していた。

「違いますよ。何を勘違いしているんですか」

 そう述べた僕の言葉に、朝日向先輩は再度「え?」と驚きを漏らす。
 高校の三年間……もしかしたら、中学、小学校まで遡るかもしれない長い時間を朝日向先輩は、他人の消失病を治すために費やしてきた。
 自分自身が当たり前に青春を過ごすこともせずに、ただ他人のために。
 そんな誰かのためにここまで一生懸命になっている朝日向先輩が報われないなんて、周りが見逃しても僕だけは見逃さない。
 今日の朝。朝日向先輩が僕と出会ったところから、僕の日常は確かに変わった。
 空っぽだった一日の繰り返しに、変化が起きた。
 何もない退屈な学校で、朝日向先輩はへとへとになってまで僕という存在を見つけてくれた。
 突然、急激に変わりだした当たり前に初めは警戒し、僕はそっけない態度を取ってしまっていたかもしれない。
 だけど、僕の心は今もなお確かな変化に湧き立っているのだ。

「先輩が僕の病を治してくれるのなら、僕が先輩の病を治してあげます。だから、僕も先輩の活動に協力させてください」

 スッと差し伸べた手の先。呆けた顔の朝日向先輩が、僕の顔と手とを交互に見つめている。

「いいの? 君には、何のメリットもないんだよ?」
「何を言っているんですか。消失病に苦しむ者同士、互いに助け合うことは十分にメリットでしょう。それに、僕たちは互いに、当たり前の青春を送れない。だったら、これから二人で『あたりまえじゃない青春』を送ってはみませんか?」

 きっと朝日向先輩に出会わなかったら、僕はこれから先もずっと孤独のまま過ごしていただろう。
 だけど、朝日向先輩と出会ったことで。消失病の存在を知ったことで。同じ病に苦しむ仲間となら、互いに互いを助け合いながらそれなりの青春を過ごすことはできる。
 それが世間的にあたりまえの青春じゃなくても、知ったことではない。
 だって僕たちは、あたりまえの青春を知らない青消年。普通に生きていくことができないのなら、これから歩んでいく日常を青春という概念に無理やり当てはめればいいだけのことだ。

「ふふ、何それ。あたりまえじゃない青春か……うん、楽しそうじゃん」

 にへらと子供っぽい無邪気な笑みを浮かべた朝日向先輩は、優しく包むように僕の手を握り、握手を交わす。
 僕は今日、僕という存在がここにある理由を初めて見つけられそうな予感がした。

 長い長い、僕の物語のプロローグがようやく幕を下ろしたのだ。


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これにて青消年の胸の内の先行ちら見せは以上になります。

お察しの方もいるかと思いますが、こちらは本作の第一章の全文になります。

これから先、蓮太と鈴はおなじ青消年倶楽部のメンバーとして、消失病に悩む青消年を治しながら、今までまともに送ることができなかった青春を……あたりまえじゃない青春を謳歌していきます。

今作ではこの後、一見すると充実した青春を謳歌しているように見える「人気者の青消年」である女の子の治療にあたっていきます。

「存在感」「幸運」を失った二人の青消年が送る物語の第一巻。

少しでも続きが気になると思っていただけましたなら、是非とも本編にて二人の道行きを見届けてください。


すこしでも、この物語が皆様の心に寄り添ってくれることを願います。


では、文学フリマ福岡会場にてお会いできることを楽しみにしております!


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