不安との付き合い方①
カウンセリングで相談されることの多いテーマに不安があります。今回から何回かにわけて、不安への対処について書こうと思います。
最初は、呼吸法を紹介します。これは使い勝手が良く、ハードルが低いのでみなさん実践しやすく、効果を感じる方も多いです。僕自身も、大勢の前で講演をする時にはうまく話せるか不安になり緊張するので、呼吸法をして気持ちを整えています。
呼吸法にもいくつかやり方があるのですが、僕がオススメしているのはこちらです。
吸う・・・鼻から・・・3秒
止める・・・丹田に・・・2秒
吐く・・・口から・・・15秒
丹田というのは、おへそから指3本分下のポイントです。ここに息がたまるように止めてください。実際は肺にたまっていますが。腹式呼吸なのでお腹に留めることを意識してください。
そして、口から細く吐くようにしてください。初めて教えると「15秒が長すぎるー」と言う方がいますが、「ハー」と吐いてしまっているからです。細く「フー」と吐けば、誰でもできるようになりますからご安心を。
この呼吸法は1セット20秒です。これを6セットほどやってみてください。気持ちが落ち着いてくると思います。
マインドフルネス
身体の状態をモニターしながら行うと、さらに効果的です。「息が鼻から入ってきているなー」「お腹に留まっているなー」「口から出ていっているなー」といった感じです。これをお釈迦さまが悟りを開いた時の呼吸法だとする考えもあるのですが、どうなんでしょうね。誰が見てたんだろう、、、とも思ってしまいますが、効果が高まるのはその通りです。
近年、マインドフルネスという方法が注目を集めており、一般の方にも広く知られるようになってきました。未来のことや過去のことを頭で考えて不安になっている状態から、現在の身体へ意識を向けることでそれらから距離を取る方法です。呼吸をしながら自分の身体をモニターすると、マインドフルネスの状態になります。その意味で効果が増すのです。
人知れず行える
呼吸法が使い勝手が良いのは、ただ息をするだけだからです。不安をやわらげるためにオーバーなアクションを必要としません。知っている人が見れば肩の動きがゆっくりなので分かりますが、普通は誰にも知られず、こっそり不安をやわらげることができるのです。
実は、数年前に公認心理師という資格ができました。心理職におけるはじめての国家資格で、それまでカウンセラーとして働いていた人が一斉に取りに行くことになりました。僕の試験会場は大学の大教室、一番後ろの席でした。試験開始直前のシーンとして張り詰めた雰囲気の時に、後ろから見ていると結構な人数が呼吸法をしていました。プロも使っている方法なので、ぜひ皆さん活用してみてください。