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マイ・ブロークン・マリコ|平庫ワカ

ぶっきらぼうでまっすぐな彼女は働いていた。
営業という職業で。

屋上で先生に隠れてタバコを吸うような元ヤンな彼女は、家族がいなそうだった。

可憐で優しい彼女は自殺した。
薬を飲んで飛び降りた。

毎回顔を腫らして屋上で泣く彼女は、
家族に虐げられているようだった。

大抵の人間は、地球よりも大きな惑星に降り立っても、不自由なく動き回ることなんてできないんだろう。

生まれ落ちた環境の重力に従うしかない。
過去に読んだ伊坂幸太郎さんの作品が頭をよぎる。

シイちゃんのまっすぐな感情と行動が心に響く。綺麗に見えた。

自分で虐げたにも関わらず、亡き娘の写真を見ながら泣くクソ親父も、すごく気持ちが悪いけど、とても綺麗に見えてしまった。

人の善さと悪さって、
誰かの主観でしか測れないのかな。

マリコが、シイちゃんに心配してもらえるのが嬉しくて虐げられていたみたいなことを言っていたけど、後付だったのかなと、考えてしまう。

わたしがぶっ壊れている。
どこから直していけばいいのかわからない。

実はその感覚って、誰でも持ってるんじゃないかと思った。

自分は、夜に1日の中で起こした自分の失態や不本意な発言を頭の中でエンドレスにリピートしたり、饒舌に好きなことを話している自分を急に客観視して気持ち悪く感じてしまってその場で涙が出てくるようなエラーを複数持っている。

マリコほど大きく壊れていないのかもしれないけど、マリコが大きな損害を受けていてくれているから、自分の損害はまだ少ないのかもしれない。

マリコは死んだり、彼女の中で生き返ってみたり、拝められたり、盗まれたり、神様みたいだった。

こんな感想すら気持ち悪いけど、その気持ち悪さもまだマシなんだろうと思う。

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