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鴨川で過ごすということ
唐突ではあるが私は京都市に住んでいる。京都の街は密度が高く狭いところであるので開けた場所というものが少ない。そんな京都市民にとって近場で開放感を感じられ季節を楽しめる場所というものに鴨川がある。
特に高野川と賀茂川が合流する通称「鴨川デルタ」と呼ばれる地帯は多くの観光客の集まる場所となっており、また地元の人々の憩いの場となっている。
飛び石をまたぎ水の流れを感じると、かつての暴れ川だった姿は今は無い。
西岸からは五山送り火で有名な大文字山を望むことが出来、楽器を練習したり、レジャーシートを敷きピクニックを楽しんだり、はたまたよさこいサークルの大学生が踊りの練習をしていたりする。
それぞれが思い思いの過ごし方をする空間であり、まるで青春時代の続きが許されているかのような世界がそこには広がっている。
私が京都に初めて住んだのは18歳で大学生になったときであった。どこにでもあるような思春期を過ごした私は当たり前のように息苦しさを感じることがあり、パンクロックに包まれながら鴨川の流れを眺めていた。どこにも行き場の無い想いを川に流していたのである。
京都市の人口の10%は学生であり、多くの学生の笑顔や涙を見守ってきたのであろう。
熱くなった身体を、想いを、頭を冷やすかのように鴨川で過ごす。自然体へとリセットしてくれる。そんな場所なのだと。
37歳になった今、鴨川でランチを食べビールを飲み、ふたばで買った豆餅を食べながらふとそんなことを思ったのである。それだけである。