おやじパンクス、恋をする。#192
そういえば、彼女は喪主ってやつなのかもしれない。最近は葬式自体に縁がねえから(幸せなことだ)忘れちまったが、喪主ってのはいそいろ忙しいんだろうな。
彼女はどこか嬉しそうにも見える顔をして、俺と雄大をその場に残し、カツカツカツと気持ちのよい足音を立てて戻っていった。
俺はそれを見送りながら助手席側に移動し、特に何も考えずにドアを開け、乗り込んだ。さっきも嗅いだ年寄りの臭いが、それこそ葬式の線香みたいにツンと香った。
「タバコ、吸っていい?」
「ダメです。禁煙なんで