見出し画像

【幸福論①】河合隼雄

下記のnoteで紹介した『幸福論』から、


心に残った言葉と、わたしの感想を共有させていただきます。


今週は、わたしの大尊敬する心理学者、


河合隼雄先生が書かれた幸福論です。

※各人の経歴はWikipediaからの要約、本書の内容の記載は”引用文”以外は個人の解釈であることをご了承ください。


1. 河合隼雄

生年月日: 1928年6月23日-2007年7月19日
執筆時の年齢: 77歳
肩書: カウンセラー・文化庁長官
蝋田の印象:
・ユングの分析心理学の第一人者
・村上春樹氏,田坂広志氏も河合先生のファン
・おもしろ優しいおじいちゃん


河合隼雄の『幸福論』のタイトル

“道草の途中に落ちている幸せ”

幸福論 (2006年, PHP研究所[編])


【要約】

1. 心を遣う時代
 戦後の物が無かった時代は単純明快で、物が増えていくだけで幸福感を得られた。
 物で溢れた時代は、その上を行かなくては幸せになれない。

“一生懸命に心を遣って、自分にとってのやり甲斐や興味を探さなくてはいけません。”

幸福論 (2006年, PHP研究所[編])


2. 一本道には必ず行き止まりがある
 仕事や会社一本で来た人たちが、それを失うと絶望感に包まれ、果ては自らの命までもを絶ってしまう。
 人間には、いろんな種類のエネルギーが与えられており、いろんな道があることを忘れてはならない。例えば、仕事・家族・趣味・友人の道など。

“たくさんの道があるからこそ、行き止まりの道を引き返す勇気が生まれるのです。”

幸福論 (2006年, PHP研究所[編])


 一本の道を歩いている人は、いつも時間に追われている。あまりに速く走るから一本の道しか目に入らない。もっとゆっくりと走れば、いろんな脇道が見えるのに。時にはゆっくりと、道草でも食ってみればどうでしょう。

“一本道を必死に走っている人たち。いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。終着駅が見えているのでしょうか。人生には終着駅などありませんよ。それに、もしその道が行き止まりだったらどうしますか。”

“ゆっくりと寄り道をすればいい。道草の途中には、きっと小さな幸せが落ちています。”

幸福論 (2006年, PHP研究所[編])


【感想】

心理療法家として多くの子ども・患者さんと接された河合先生の晩年の幸福論であり、

「何を大切にし、どう生きるか」

を改めて考えさせられる言葉の数々でした。


物で溢れた時代だからこそ

心休まる暇もなく

いつもすぐ側にあるはずの幸せに気づくことができない。


そんな現代人の一見矛盾した悩みを

特有のユーモアを交えて文章化いただき、

まるで河合先生に背後から諭されているような感覚に陥ることができました。


一方で、若者特有の無鉄砲さで

ひとつの物事をとことん突き詰める経験も

のちに振り返った時の話の種になるのではないかと感じております。


河合先生の幸福論は、

自分の好奇心の赴くままに

とことん突き詰めた上で

思い通りの結果にならなかった際の、

一種のストッパーの役割を果たすと感じました。


【おまけ】

河合先生の幸福論の中で用いられた

『人生におけるいろんな道』という表現は

ユングが提唱した『ペルソナ』の概念に通ずるところを感じますし、


『人生に終着駅などない』と断言している点は

空に輝き北を指し示す北極星でさえ

何万年も過ぎれば別の星に変わること、

また、

『道草の途中には、きっと小さな幸せが落ちている』

と相まって、

ユングの提唱した『コンステレーション (日本語で星座・布置)』の考え方に通ずるところを感じました。

最後に、河合先生に関するオススメの動画を共有させていただきます。


今回もご清覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?