【書評】『ミッキーマウスの憂鬱』(松岡圭祐)を読む。夢は現実に叩かれて本物になる。
ロッシーです。
『ミッキーマウスの憂鬱』を読みました。タイトルからして、前から気になっていました。
そういう意味ではうまいタイトルの付け方ですよね。
内容は、東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者が、パークで起こる様々な出来事を描いて成長する物語です。
私達がディズニーランドに行くときには、ゲストとして表しか経験できません。しかし、本書を読むことで、パークの裏の世界に接することができるのは非常に面白かったです。ディズニー好きなら必読の書かと思います。
ただ、本書の解説にもあるように、あくまでもフィクションですから、書いてあることが事実なのかどうかは分かりません。
でも、本書を読んでいると、作者の筆力により、「これが事実なんだろうな」と思わされてしまうでしょう。
本書の主人公の心情は、以下の3つの順に変化していきます。
① 夢を抱いてパークで働き始める
② 夢と現実とのギャップに凹む
③ 夢を再び抱いて働く
この流れというのは、「夢」を語るにおいては非常に重要だと思います。
私達はよく
「夢を持つのが大事だ!」
といいます。
しかし、単に夢を持つだけではやはり不十分なのです。
夢が本当に夢となるためには、現実というものに叩かれることが必要です。なぜなら、現実と対峙していない夢は、独りよがりの空想にすぎないからです。
現実によって叩かれた夢は、鍛錬された刀と同じで本物の夢になるのです。
そういう意味では、現実の厳しさは、夢が本物の夢になるために必要なことなのだといってもいいでしょう。
本書の主人公は、まさに現実に叩かれることで、本物の夢を抱くことができるようになります。
これってよくよく考えるとディズニーも同じなんですよね。
ディズニーという世界観を維持し、そして変化しつづけることは、並大抵のことではありません。まさに毎日がトラブルや問題といった現実との闘いです。
でも、その現実に叩かれることで、ディズニーはその世界観をより強固にし、沢山の人に夢を提供し続けているわけです。
ディズニーという世界感は、現実に何が起こっても、それを糧として夢に替えてしまう偉大なシステムなのかもしれません。
本書を読んだら、ディズニーランドにまた行きたくなりました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Thank you for reading !