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【ショート ショート】 星に似たもの
最近、流星群が頻発していて、空の星が
減少してしまった。
そのため、星に似たものを製造するよう
あまり、メジャーでない『Z研究所』に依頼がきた。
超極秘のため、目立たないウチが選ばれたらしい。
ここで、地球に落ちてきた隕石を集めて溶かし
何種類かの秘薬を入れて、製造機に流し込むのだ。
あとは、空に向かって飛ばすだけ。
助手「博士、やっぱり偽物の星はマズイでしょう
捕まりますよ」
博士「何とかバレないように、やってくれ給えよ」
助手「このまま流星群が頻発すると、いずれ空には
星が無くなってしまいますけど、こんな偽物
の星で良いのですか」
博士「そうなんだよねぇ、本物が出来るまでの間
コレで乗り切るしかないのだよ」
この業務は、どこかの国の秘密機関から依頼された
トップシークレットだ。
私は猛烈に反対したのだが、博士は自分の研究費の
ため、承諾したのだ。
星に似たものを製造する時、隕石を触るせいか
最近、感覚が研ぎ澄まされて、色々なものを
見たり、聞いたり、感じたり、交信まで出来るように
なってしまった。
なぜか、私だけ。
それでわかったことが、幾つかある。
未確認飛行物体(UFO)は、毎日すごい数
地球に飛んできていること。
宇宙人は、普通に人間社会に入り込んで
調査をしていること。
それは、地球がピンチになっているから
らしいが・・・。
助手「博士、いつまでこの作業を続けるのでしょうか」
博士「そうだねぇ、きみ宇宙人と交信出来るのだろう
手伝ってくれるよう、頼んで見てくれないかな」
偽物の星の製造を、宇宙人に??
仕方なくテレパシーで聞いてみると、面白そうだからと
即OKだった。
宇宙人よ、いいのかホントに。
博士「実はもう一つ、きみにお願いがあってね
私の研究だが・・・」
助手「ダメですよ!自分でやらないと!意味
ないですよ」
博士の企みは、見え見えだ。
あと何年かかるかわからない研究中のものを
あわよくば宇宙人の力で、と思ったのだろう。
さすがに、それでは意味がないと私は思う。
悪い人ではないのだけれど、ホント流されやすいんだ
から、見張ってないと。
博士「どうしても、ダメ?」
助手「ダメです!絶対!」
博士「厳しいなぁ〜 ちょっと聞いてく・・・」
助手「ダメって言ったら ダメです!」
博士は、その後もブツブツ文句を言っていたが
私は一切、聞く耳を持たなかった。
星は、宇宙人が製造を手伝ってくれたおかげで
何とか世界中の人に、バレずに済んでいる。
偽物の星だけど。