猫の本分

高級な　ガラス玉のような

眼を持った猫は　時に

悟りを得た　眼力で

微動だにしない　体勢で

未来を　見据えている

あまりにも　自分勝手な人間と

容赦なく　破壊されていく

自然の悲鳴を　聴きながらも

猫らしく　のん気にニャーと鳴き

緩やかに　伸びをする

言いたいことは　たぶん

山ほどあるはずだ

けれども　素知らぬ顔をする

猫としての本分を　まっとうするため

窓辺の一番　風が通る場所で

うたた寝を　しはじめるのだ

高級なガラス玉の眼は　閉じられて

しなやかな体を　そり返しながら

猫としての本分を　やり遂げる