6号室の196番

悲しくて美しいものをテーマに日々を綴ります。ギターを弾いたり、garage band で作曲したり…。

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マガジン

  • 君とのこと

    2020年の夏の兆しが見え始めた頃に出会った君と僕のこと

最近の記事

ミルククラウン

君は転勤してやって来た新興企業のキャリアウーマン。僕はつまらないサラリーマン。君は企業からも将来を嘱望された人材。僕は君より随分年上で中小企業の平社員。 出会ったのは2020年の初夏の兆しが見え始めた頃。タイミングとしか言いようのない出会い。君は初めて着任した僕の地元に馴染めなくて仕事と寮の往復の毎日で友人もいなかった。心細かったのかもしれない。僕はどことなく満たされない感情を抱えながら過ごしていた時に君に出会った。君は僕を癒した。僕は君を支えられたかな?一緒に過ごした時間

    • 翅脈

      秋の日差しを受けた桜の木。鉄棒にぶら下がる壮年のように重力に逆らわず数枚、枝に捕まっている。傾いて斜めに差し込む夕暮れがトンボの羽のように透き通っている。翅脈(ふみゃく)のあみだ籤(くじ)を巡る。瀟洒(しょうしゃ)で懐かしい黄金の風景がゆるやかな時間と僕の胸を焦がしていく。 ★ 君からのメールを待つ。忙しくて返信できない事など承知している。何度もメールアプリを開いては閉じる。こうなると確かだと信じていた絆も少し心許ない。だからといってこちらからメールすれば君へのプレッシャ

      • 夏の使者になる。

        風にさざめく街路樹のトンネルの下。東に向かって小径(こみち)を車で走る。夏の木漏れ日は過ぎ去っていった懐かしく美しい日々を思い起こさせた。道ですれ違う車窓の中、不意に見かけたあの人の名前も今は忘れてしまった。面影が名前を失って彷徨っている。急に自分自身も消えてしまいそうな錯覚を覚えて、今まで出会った人の面影と名前を思い返し重ねてみる。 梅雨明けを伝えるラジオ。ニュースを見れば分かることなのに、初夏の使者になりたくて、君にメールで伝える。陽炎の中。うだるような暑さの中にいる。

        • 幸せのポモドーロ

          初夏を思わせるような日差し。ワイシャツの下の肌が汗ばむ。堤防沿いの草がなびいて、初夏の風を縁取る。遠くを眺めている。霞む空の中に映る君の面影が夢のよう。 「ぉぃ…おい、聞いてるのか!?」 リチャードバック・ジョナサンの声で我に帰る。「ああ、ごめん。考え事していたよ」 「なぁ、Sちゃんがいなくなって気落ちしてるのもわかるけど、そんなんじゃ、目の前の看板に頭ぶつけて、脳みそぶち撒けるぞ」 「そうだな。なぁジョナサン、幸せってなんだろうな?」 呆れた顔してジョナサンは僕を

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        • 君とのこと
          8本

        記事

          人生を最高に旅しよう!テトペッテンソンを口ずさみながら。

          誰にもいえない恋は異動フラグで終わりの予感。お互いに好きって言わない暗黙のルールを破った翌日。君から「異動するかも」ってメール。もうすぐ君と出会って一年。異動が正式に決まったと聞かされた時、外ではチョコレートも溶けるくらい温かい雨が降った。更新される季節はリールを巻くように戻すことは出来ない。新しい季節がやってきて、透き通る冷たい冬と柔らかな君が去ってゆく。 ★ テトペッテンソン テトペッテンソン♪ 君との出会いが 悲しい思い出にならないように 君が教えてくれたこの風変

          人生を最高に旅しよう!テトペッテンソンを口ずさみながら。

          卒園式 謝辞

          「明日、先生泣かしたら、ひとりにつき500円だからな!」 2月の中旬、嫁が息子の卒園式実行委員メンバーでジャンケンに負け、卒園式の保護者代表お礼の言葉の重役が僕に回ってきた。文章を書くのは嫌いじゃないから軽く請け負ったが、実際に謝辞を起草し始めると、なかなかどうしてこれが難しい…。いつもだったら好き勝手に書いてしまうのだけれど式典における文章のあり方をまざまざと考えさせられた。就寝前に考え込むと夜も眠れず午前3時になったり、参考になる本やネット情報を漁ったが、僕は結局好き勝

          卒園式 謝辞

          will you be my valentine

          昨日から降る雨は温かくて柔らかいな。 季節が更新されていくのを感じる。 これじゃ あなたに渡すチョコレートも溶けちゃうわ。 The get up kids の valentine 聞きながら あなたの事、考えてるの。 離れたほうがいいの? 距離を置けば、また一緒にいられるかな。 謝らないで。 また泣いてしまうから。 涙でくしゃくしゃになったわたしの顔。 見られたくないから 結局、チョコレートは渡せそうもない。 通勤電車の中吊り広告。 変わらないでいるために 変わ

          will you be my valentine

          真夜中にラジオを聞きながらミルクを溢した話

          昨夜、先輩と懐かしいラジオ番組の話になった。僕が学生の頃はYOUTUBEなんてなかったから、ラジオは割と僕たちの身近にあった。AMラジオのアナログでノイジーなサウンドはまるで少年と大人の間にある重い扉を押し開ける音のようだった。 ラジオをよく聞いていたのは中学生の頃だった。計画性のない僕は期末テストの直前、追い込まれるように朝方まで勉強をしなければならなかった。眠ることが出来ない夜の僕のそばにはいつもラジオがあった。 あれから30年ほど経った今でも強烈に覚えているラジオ番

          真夜中にラジオを聞きながらミルクを溢した話

          シン・ゴンゾサマ伝承記 宮崎市下北方町に伝わる疫病祓いの神様

          ーその男、身なり甚だ見窄(みすぼ)らしい。ー 誰の記憶にも留まらない遠い昔の冬の日の話だ。富める者も、貧しき者にも平等に温もりを注いだ太陽が西の杉山につるべを落とすように消えていった。東側の丘陵の麓から宵闇が忍び込む。私は生きるための作業を機械的にこなした。寒い冬にできる事なんて限られている。家族を飢えさせない為に僅かばかりの種を大事に育てていた。今日を振り返る。竈門から女房がヒエを炊(かし)ぐ香りが漂ってきた。 「さぁ、ゆうげにしようか」 私がそう言うと同時に土間の戸

          シン・ゴンゾサマ伝承記 宮崎市下北方町に伝わる疫病祓いの神様

          ベルガモット

          何かいいことないかな ため息にも似た言葉は寒空に伸びる木立の枝のように拡がった。あるいはその言葉はコーヒーから昇り立つ湯気のように拡がりはみせたが僕を温めてはくれるものではなかった。平凡な毎日だけど割と不幸でもないのにそんな言葉を呼吸している。吐いては吸い。吐いては吸い。こんなことを言っても何も変わりっこない。僕に置かれた状況も、太陽が登る方角も。いいことってなんだろう。あまりにも漠然としている。それが僕を固定概念の箱に閉じ込めているのかもしれない。その箱にも小窓くらいはあ

          ベルガモット

          白内障手術体験記「痛くはないけど…」

          人生で一番、目薬を挿した朝。手術の1時間くらい前から10分間隔で抗生剤と散目剤の目薬を挿す。3種類くらいあるのかな?もう10回以上は点眼している。 ゆっくりとした時間が流れている。村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでいる。 手術前診察を受ける。やっぱり光が眩しい。痛みは麻酔でどうにでもなると思っているけど、眩しいのは目を背けたくなるくらい嫌な感覚だ。目が動いてしまうと手術が長引くらしい。先生に目が動いてしまうかもしれないと懸念を伝える。「その時は眼球を手で押さえる

          白内障手術体験記「痛くはないけど…」

          思い出のバターライス

          ICU待合室はほの暗い。窓の外の喧騒と看護師の話し声が遠くから聞こえる。看護師の廊下を歩く音だけが耳元で響いている。僕はその待合室の扉が開かれるのが正直怖い。 今朝、親父が緊急搬送された。いつもは煩わしい親父だけど実家の床に張りついて浅い呼吸を繰り返してる姿をみると心配の方が込み上げる。CTスキャンの結果「大動脈解離」と診断された。緊急手術しないと死んでしまうとのことだった。担当医師は徹底的に楽観的意見を排除し最悪の場合の説明を淡々としている。耳では説明が聞こえているけど、

          思い出のバターライス

          トイカメラの左目で世界をみる

          右目を閉じるとフィルターがかかったように世界が見える。僕の左目はトイカメラのようになってしまった。 ★ 最初は左目にゴミが入ったような違和感でしかなかった。ふと疲れて右手で頬杖をついた時に左目の視界が白いことに気づいた。眼科に行って検査したら白内障と診断された。学生時代から目は良かったし、ずっと裸眼で生活していたから、信じがたかった。 ★ 「おじいちゃんになっちゃたね」と周囲から、からかわれる度に右目を閉じて「僕の左目は見えないものが見えるようになったんだ」って、おど

          トイカメラの左目で世界をみる

          レム・ウィンチェスターの悲劇、ライムライト、静寂の音

          夜の帳(とばり)が長く深く垂れ込み始める。頬を撫でる風がまた少し冷たくなってきた。胸に迫る理由のない寂しさ。金木犀の甘い香り。静寂をゆらすレム・ウィンチェスターのヴィブラフォン。どこからともなくやって来て、あてのない闇へと去っていくもの達とすれ違う季節。 ★ ここ数日、レム・ウィンチェスターの悲劇について思いを馳せている。1961年の1月16日、ジャズバーで彼は33歳の短い生涯を終えた。元警察官でありながら、卓越したヴィブラフォン奏者でもあった彼はライブ出演中にロシアンル

          レム・ウィンチェスターの悲劇、ライムライト、静寂の音

          Ambient , Jellyfish , End point

          「知ってるかい?クラゲって奴には、まったく脳みそが無いんだ」リチャードバック・ジョナサンが眠い目を擦りながら僕に言った。 僕は、Aphex Twin のAvril 14thを聞きながら、今朝のネットニュースをぼんやり眺めていた。今年も村上春樹がノーベル文学賞を逃したらしい。村上さんにとっても迷惑な話らしいね。彼曰く「脳減る賞」だって。 村上さんはクラゲにはなりたくないようだ。 ★ 「脳みそが無いのにどうやって動くんだい?」僕は何気なしに聞いてみた。 「クラゲには散在

          Ambient , Jellyfish , End point

          ●●を磨いて、性格を変える方法

          今日はネガティヴな方、ストレス耐性が低いと感じている方の性格を変化させる方法がある簡単な習慣で手に入れられるかもしれないというお話です。 結論からいいます。 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | 食事前に舌を磨く| |_______ |  ∧_∧ || (  'д` )||  /  づΦ はい、これだけなんです。 では追って説明します。 【口腔環境は腸内環境に影響を与える】 「テレビでやっていたけど、お腹が緩い人は食事の前に舌を磨くといいらしいよ」と同僚から聞いた。 調べてみ

          ●●を磨いて、性格を変える方法