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龍孫江の環論道具箱

環論の初歩について,基本事項をまとめます.環論を学び始めた人,もう少し良く知りたい人におすすめです.月6回ほどの更新と,おまけテキストを載せる予定です.
環論の初歩について,基本事項をまとめます.教科書にはあまり書かれない細々とした計算や寄り道っぽい話…
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#龍孫江の環論道具箱

多項式の根とWilsonの定理〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回,Wilsonの定理を証明しました.今回は引き続き,Wilsonの定理を環論的な考え方で考察し…

ネーター環の剰余環〈龍孫江の環論道具箱〉

 ネーター環は現代可換環論の主役と言ってもよい概念です.ネーター環を素材として,どんな加…

代入写像の核〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回は多変数の多項式に一斉に代入する写像について紹介しました.その像を「生成する部分環…

生成する部分環〈龍孫江の環論道具箱〉

 1変数の多項式について,根の数などを中心に観察を続けてきました.基礎となる環が整域か否…

多項式の根の数〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回,整域上の多項式の根の数は次数を超えないことを証明しました.ここで「整域」という条…

多項式の一致の定理〈龍孫江の環論道具箱〉

 今回からしばらく,多項式を根に注目して観察したいと思います.それは多項式環の性質の解析…

避けきれないイデアル〈龍孫江の環論道具箱〉

 2回かけて素イデアル避けを紹介してきました.とりわけ素イデアルでないイデアルを含む場合の主張は,なんとも「これどうなってるんだ?」と感じさせる部分があります. 定理(Prime Avoidance改・再掲)$${P_1, \ldots, P_n}$$は高々2個を除き素であるイデアルとする.$${I}$$をイデアルとするとき,各$${t}$$に対し$${I \not\subset P_t}$$ならば$${I \not\subset \bigcup P_t}$$である.□

Prime Avoidance改〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回,Prime Avondance(素イデアル避け)を紹介しました.実は,素イデアル避け補題におい…

Prime Avoidance〈龍孫江の環論道具箱〉

 単元群の要素を「どの極大イデアルにも含まれない」と特徴づけましたが,可換環の観察におい…

ジャコブソン根基〈龍孫江の環論道具箱〉

 前回は,環の単元群を「どの極大イデアルにも属さない要素の全体」と記述しました.これに対…

単元群の記述〈龍孫江の環論道具箱〉

 根基の記述や冪零根基などの話を通して,素イデアルや極大イデアルが環全体の観察に役立ちそ…

冪零根基〈龍孫江の環論道具箱〉

 イデアルの根基を導入し,その性質を観察しています.とりわけ,特別なイデアルの根基には特…

根基の性質2題〈龍孫江の環論道具箱〉

 イデアルの根基を導入し,素イデアルと密接な関係にあることを紹介しました.今回は少し肩の…

根基と素イデアル〈龍孫江の環論道具箱〉

 イデアルの根基を導入し,素元分解を通した観察によって根基は素イデアル(素因子)と密接な関係にあることが見えてきました.実際に,イデアルの根基は次のように表すことができます. https://youtu.be/gL0C6G2cW8s 定理(根基と素イデアル)環$${A}$$の真のイデアル$${I}$$に対し $${ \sqrt{I} = \bigcap_{I \subset P} P}$$, ここで右辺の交叉は$${I}$$を包む素イデアル$${P}$$すべてをわたる