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【読書】EQリーダーシップ〜リーダーの感情は伝染する〜 詳細版

この本はリーダーシップに関する本で、私が個人的に最もヒットし、実践して効果を感じた本です。読んだのは、3年ほど前になるのですが、非常に学びが多かったので、一つ前の記事で概要版を書いていたのですが、改めて自分の振り返りも兼ねて内容を紹介したいと思います。

EQとは、「Emotional Intelligence Quotient」の略で「感情知能(心の知能指数)」と呼ばれるもの。簡単にいうと、自分の感情を理解し、相手の感情を理解することです。

この本ではEQがリーダーシップにとって本質的に重要であることが述べられています。

「リーダーの根本的な仕事はチームの感情を前向きに方向づけること。」

この本全体を通して何度も繰り返し伝えられるメッセージです。

「そりゃ、感情も大切でしょう」と思われる方もたくさんいると思いますが、リーダーの感情がいかに周囲に影響を与え、感情によってチームのパフォーマンスがどれほど影響を受けるのか、真剣に考え、日頃の仕事や家庭での行動で注意している人はほとんどいないのではないでしょうか。

この本では、著者の個人的な見解で述べられているのではなく、医療機関での研究結果やリーダーシップに関する数千にもおよぶ企業の管理者への調査結果を元に書かれています。

「なんとなく」、ではなく実際の事実に基づいて利用しているため、非常に説得力のある内容になっています。

読み終わる頃には、感情というものがリーダーシップと密接に関わっていること。むしろ、意図して個人、集団の感情をマネジメントすることこそが、リーダーの本質的な役割といっても過言ではないと思えるようになります。
いくら「IQ」が高くても無意味で、「IQ」+「EQ」となって初めてリーダーシップを発揮できるのだと気づかせてくれます。

EQの重要性を自分への振り返りも含めてもう一度記事にしたいと思います。

こんな方におすすめ

会社でチームリーダーやマネジメントを担っているビジネスマン
・これからリーダーになろうとしている若手社員
・リーダーやっているけど、なかなか上手く成果を挙げられていない方



【リーダーの一番大切な仕事】

1.リーダーの感情は伝染する。
2.集団の感情を前向きに方向づけることこそが、リーダーの根本的な仕事である。

第1章で語られていることですが、この2文に本のエッセンスは集約されると思います。

「感情の伝染」についてですが、これは脳の回路の働きを理解する必要があります。専門用語が出てくるのですが、EQを理解する上でキーとなるので、丁寧に説明します。

感情をコントロールする脳は「大脳辺縁系」と呼ばれていて、この脳は「他律的に」動くことが分かっています。「他律的に」というのは、つまり他の我々の感情は周囲の環境から影響を受けるということです。

<実際の研究例>
1.病院のICUでの調査結果で、心を許せる人が付き添うと患者の血圧が下がるだけでなく、悪性の血中脂肪酸の分泌量の低下が見られる
2.中年男性が1年の間に失業、家計の悪化、離婚等の強いストレスを感じる場合でも、親しい人間関係に恵まれた人間は死亡率は変化がなく、
社会的に孤立している人では死亡率が通常の3倍になる
3.カップル間では、互いの脳内でオキシトシン(幸福ホルモン)を分泌される


より性格にいうと、この「感じる脳」の働きによって、人間は生体レベルで「同調」するようになるそうです。

<実験例>
・会話する二人の人間の生体データを見ると、会話を終えること生体データが同じようなリズムになっている
・見知らぬ人間同士で話をさせると、最も感情表現の豊かに人間に三人の感情が同調する (会社、職場での観察結果でも同様。)

大脳辺縁系の作用で、人間は相互に発する信号によって他の人間のホルモンや心臓や血管機能、睡眠にまで、お互いに影響を与えているということが研究から分かっています。そして、同調作用があることを普段我々はあまり気にしていない(気づいていないということです。)

では、組織やチームの中で最も感情を電波させる力が大きいのは誰か?
それはもちろんリーダーです。

なぜなら、
1.組織の中で最も発言が多く、発言力があるから
2.発言しなくても、一番注目されているから

何か、重要な課題について話し合う時、重大な問題は発生したとき、リーダーが一番発言するし、リーダーの発言を皆さん気にかけますよね?
(リーダーが何をいうのか、全く気にしない方も少しはいるかもしれませんが、、、)

たとえリーダが発言しなくても、やっぱりリーダーが注目されます。
特に、人によって反応が異なるような微妙な問題について話し合うときは、みんながリーダーを見て倣おうとします。例えば仕事で、何か問題が出た時に、黙って深刻な顔をしているリーダーを見れば、これは深刻な問題だと認識するし、逆に、笑顔で軽く対応策を指示すれば、それほど難しい問題ではなく、解決できそうとメンバーは感じるでしょう。建設的な意見を歓迎する雰囲気を作って、人々を前向きにするのか、批判的な雰囲気を作り発言を控えるように仕向けることも可能ですね。

リーダーが組織内で感情の基準を作るといっていいでしょう。

皆さんにも、職場そして家庭や友人も含めて身の回りの人の表情、行動、仕草を観察してみてください。この人と一緒に仕事をしたいと思う人は表情や仕草から伝わってくる情熱や感情が前向きで豊かではないでしょうか。

周囲の人間から人気のあるリーダーは皆表現力が強いと思います。
リーダーの感情は注目されている。だからこそEQの高いリーダーのまわりには一緒に働きたいという人がたくさん集まってくるのです。

これまでリーダーの感情が伝染するという話をしてきました。
では、次に、感情によって個人、組織のパフォーマンスにどれほど影響するの?ということについて見てみましょう。


【職場の雰囲気が仕事の結果の差を生む】

一時的な激しい「感情」は、仕事に支障をきたすことがあります。
これは、皆さんも1度や2度のご経験あると思います。
「午前中の上司の発言が頭にきて、午後の仕事に集中できなかった」ということも、人間ですから経験したことのある方もいるでしょう。
このような一時的な感情だけでなく、慢性的な感情、つまり「雰囲気」でも意外と重要で、結果に影響をもたらします。

一時的な感情ではなく、長期的な感情や雰囲気がどの程度、組織のパフォーマンスに影響を及ぼすかは、
具体的な例を見たほうが理解しやすいと思います。

本の中で紹介されている例をご紹介します。

・イェール大学の研究では、年間ボーナスの配分を決める重役会議では、前向きな気分の下では、能率が良くなり、後ろ向きな気分の下では、捗らない。
・アメリカの有名企業、非営利組織、行政機関などの62人の経営者を対象とした研究において、経営陣での摩擦、人格的な対立、感情面での葛藤を調査。調査によると、全体的な雰囲気が前向きな経営陣ほど、よく協調しあい業績が良いことが分かった。逆に、仲の悪い経営陣による運営が続くと会社の採算もどんどん悪くなっている。

・快活な従業員は顧客を満足させるために人一倍努力するため、業績も上がることが判明。メリーランド州立大学の、銀行支店、保険会社の営業所、クレジットカードのコールセンター、病院などのサービスに関わるさまざまな業種を調査。従業員のサービス志向の評価を見れば、今後3年以内の業績予想ができる。逆にサービス志向の評価が低いと、今後の離職率の上昇、顧客満足度の低下となって現れる。結果、収益低下につながる。


これまでも、組織内の感情や企業文化は業績と相関があると考えられてきていましたが、裏付けるためのデータがなかったため、
経営コンサルタントは「売上」のようなビジネスの目標に目を向けざるをえませんでした。

しかし、多業種でのリーダーシップ、企業文化と業績との影響について研究が進んできており、「職場の雰囲気」というソフト面での差が業績の差をもたらすことが分かってきています。

もちろん、業績を「決定」するわけではありません。業績を決めるのは、市場動向だったり、自社の経営指標等、複雑な要素が絡み合っているのですが、その複雑な要素の一つには入っているのは間違いありません。


【EQには4つの領域に分類される】

これまで、リーダーの最も大きな役割は、メンバーの仕事に対する熱意や前向きな感情を換気し、協調と感情的な共鳴を実現することと説明してきました。では、次に考えを一歩すすめて、リーダーが仕事をする上で、EQの動のどのような働きをするのかの話をします。
EQは大きく4つの領域に分類にされ、それぞれの領域の中にはさらに具体的な行動特性が含まれています。

1.自分の感情を認識する
2.自分の感情をコントロールする
3.他者の気持ちを認識する
4.人間関係を適切に管理する

どれか一つを達成できればよいわけではなく、4つそれぞれが密接に関係しており、すべてEQリーダーシップに必要不可欠な要素です。

全体像を示す図で見たほうがわかりやすいので、
領域と行動特性と合わせて図を作成してみました。

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各領域の内容とそこに含まれるコンピテンシー(行動特性)の内容はそれほど難しくはないでしょう。

大切なのは、実現していく「順番」です。EQリーダーシップの実現に向けては、まず「自分の感情を認識する」ことができて、初めて「自分の感情のコントロール」と「他者の気持ちを認識する」ことが可能になり、この2つが揃ってようやく「人間関係を適切に管理する」ことができるようになります。そのため、EQの基礎となるのが、「自分の感情を認識する」です。

自分の感情を理解する(自己認識)

EQの基礎中の基礎になるため、「自己認識」についてのみ、さらに深掘ります。まず注意が必要なのは、「自己認識」はただ短絡的に、表層的に自分の気持を理解している、ということではありません。

「自己認識」とは自分の感情、自分の長所・短所、自分の価値観、行動のきっかけとなる動機について深い理解をしているということです。
自己認識に優れた人は、自信を過小評価も過大評価することもなく、不必要に不安になることもなく、根拠もなく楽観せず、現実的な考え方ができる人です。

自己認識を高めるためには、自己内省を仕事の合間や生活習慣の中に取り入れることが大切です。自身の行動を振り返ったり内面を探ることで、価値観を正確に深く理解できるようになるため、自分の価値観に合った決断ができるようになり、結果として仕事や生活全般に対して前向きでいられます。

先程の図でも記載している行動特性を見てみると、「正確な自己評価」、「自身」もいづれも深い内省によって得られる行動特性です。1日に10分でもいいので、自身の行動、価値観を振り返る時間をルーティンで設けられると自己認識を深めることができそうですね。
※他の3領域についても説明を追記するかもしれません。


【EQリーダーシップの型はゴルフクラブのようなもの】

ここまでは、リーダーシップにおけるEQの重要性と、EQの中身について説明してきました。では次に、EQを使ってどのようにリーダーシップを発揮していくのか、リーダーシップのあり方についてみてみましょう。

この本の中では、EQリーダーシップの「型」を6タイプ紹介しています。

<前向きなリーダーシップ>
・ビジョン型
・コーチ型
・関係重視型
・民主型
<危険なリーダーシップ>
・ペースセッター型
・強制型

個人的に、この本の最大の価値は、リーダーシップのあり方を6通りの「型」に分類して、それぞれの有効なシチュエーションを整理している点にあると考えています。

その理由は、リーダーシップを体系的に学習したことのない人は、どうしても自分の目につく人、尊敬する人、感銘を受けた人のリーダーシップのあり方に依存しすぎてしまい、リーダーシップをとても狭く捉えてしまうからです。
私自身も、仕事を通じてたまたま一緒に仕事をして決断力のある人で、自分ではできない難しい局面でもどんどん意思決定をし、チームメンバーに指示を出す姿を見て、リーダーシップとはこうあるべきと、リーダーシップを「狭く」考えていました。

しかし、この本の中では、実はリーダーシップは6通り存在しており、それぞれ使い方が異なるのだと、説明してくれています。本では、「ゴルフクラブのようなもの」と表現されています。これは分かりやすい表現だと思います。

適した使い所があるだけではなく、本当に優秀なリーダーは複数のリーダーシップの型を使いこなすことができるという意味です。

仕事での経験を思い返してみると、確かに納得できる場面がたくさんありました。意思決定力があり、自信があり、一見すると理想のリーダー像のように思える人でも、クライアントやチームメンバーとうまくコミュニケーションを取れない場面がありました。
一方で、もの静かであまり主張せず、ニコニコしているリーダーが周りのメンバーをうまくコントロールして成果を上げるところを目撃したこともありました。前者のリーダーは1本の”ゴルフクラブ”の使い方しか知らなかったのでしょう。

リーダーシップの中身そのものよりも、いかに状況に合わせて活用していくのか、という観点で各リーダーシップのスタイルを整理しましょう。


【EQリーダーシップの型】


1.ビジョン型

<型の内容>
組織の目指すべき大きな目的や夢を示し、あらゆる活動を目標と結びつかせることでメンバーの感情を向上させる。
目指すべき姿を言葉で説明するがそこに至る道筋までは示さず、部下に任せる。
リーダーの典型的なイメージ。

<例>
孫正義氏が該当すると思います。
いつも大きなビジョンを語りますね。
決算説明会の金の卵と、豆腐屋さんの話は何度聞いても笑ってしまいます。

<結果>
チームメンバー全員が大きな目標に向かって努力していることを感じ、平凡で単調な日常に大きな意味をもたらす。
結果、組織全体が同じ方向を向いていることを理解し、労働意欲が高まる

<有効なタイミング>
組織が明確な目標を見失って、変革のために新たなビジョンが必要な時に最も有効。
組織を改革するリーダーにはこのスタイルが最も適している。

<使えないタイミング>
注意すべきは、ビジョン型は万能ではないということ。
リーダーよりもメンバーのほうが優秀である場合、リーダーのビジョンは陳腐で時代遅れのような印象を与えてしまう。
また、リーダーがビジョンを説明するつもりでビジョンを強要してしまう場合、チーム内で混乱を招く。


2.コーチ型

<型の内容>
メンバーが自分の長所と短所を自覚するプロセスをサポートし、さらには、自覚に基づいて仕事や人生の目標の達成までもを支援する。
一方で、リーダーの責任と部下の責任を成長のために明確にする。
フィードバックする前に、まずは相手の話を深く聞くことから始まるスタイル。
メンバーの潜在能力と最善の行動をとると信じていると、メンバーにわからせる。

<例>
まさに、ビル・キャンベルのための型。
”1兆ドルコーチ”ですからね。

<結果>
リーダーとメンバーの間に強い前向きな感情、信頼関係が生じる。
メンバーは自分のことを気にかけてくれていると感じ、与えられた責任を果たすべく成長しようと努力する。

<有効なタイミング>
プロとして能力アップを目指すメンバーの場合、絶大な力を発揮する。

<使えないタイミング>
逆に、モチベーションの低いメンバーには手取り足取り教える必要がでてくるため、非常に非生産的。

3.関係重視型

<型の内容>
自分の感情、メンバーの感情、さらに周囲の人たちと感情を共有する。
目標達成以上に、メンバーの感情面でのニーズと友好関係に最も重きを置く。

<例>
鬼滅の刃のお館様(産屋敷耀哉)がぴったりですね。
剣は振れないけど、犠牲となっていった鬼殺隊員のすべての名前と生い立ちを覚えている。
感情の共感、配慮、隊員への思いやり、信頼。。。


<結果>
メンバーを人間として重要視するため、忠実なメンバーが育ち、組織全体の結束力が高まる。
協調体制を作るために、最も適している。

<有効なタイミング>
前向きな感情が作られるため、あらゆる状況で有効。特に有効なのはチームの融和を実現したい時。
お互いの意思疎通を改善したいときや、壊れた関係を修復する時に有効。


4.民主型

<型の内容>
最良の聞き手となり、提案を促し、相手からの考えや意見を引き出す。 
良いことも悪いことも、どんな意見でも聞きたいという真摯な姿勢を示す。
チームワークを大切にし、上から一方的な命令は決してくださずに、融和を生み出す方法を模索する。


<結果>
メンバーの課題や懸念に耳を傾けることで、集団全体のモラルを高く保つことができ、結果、関係者に前向きな感情を作り出す。
提案を歓迎し、メンバーの参加を通してコミットメントや合意を醸成することができる。

<有効なタイミング>
リーダーが進むべき方向を決めかねて、メンバーからの意見や要望を聞きたい時。
ビジョンを実行する段階でメンバーからアイデアを引き出したい時。
チームメンバーが多様な能力や価値観を持っている人々のチームワークを高めたい時。


<使えないタイミング>
民主型の最大の欠点は、このアプローチを多用しすぎると、会議ばかりで結論が出ずに成果が上がらないこと。
強いていえば、カレンダーにびっしり埋まった「意見交換」という名の会議のみ。
リーダーが結論を先延ばしにするほど、組織は方向を見失い、現場は混乱することとなる。

5.ペースセッター型

ここからは危険なリーダーシップの紹介になります。使える場面はあるのですが、使える状況が限定的でありかつ悪い影響を与えるリスクが非常に高いため、以下「ペースセッター型」と「強制型」については、他の良いリーダーシップと併用することが「必須」の条件となります!

<型の内容>
リーダーが高いレベルの目標や成果を目指して手本を見せて、メンバーにも同じレベルのパフォーマンスを求める。
常に仕事の内容の向上と迅速化を念頭に置いている。
水準に満たないパフォーマンスに対しては即座に指摘を行い、改善が見られない場合はリーダー自らが改善に乗り出す。
一方でリーダーは具明確なビジョンやガイドラインは示さない傾向にある。

<有効なタイミング>
企業のライフサイクルの中で、起業するタイミングに適している。
また集団のメンバー全員が非常に優秀で、モチベーションも高く、教育する必要がない場合に強力な力を発揮する。
大きな目標や意義を設定する「ビジョン型」と併用すると有効なケースが多い。

<使えないタイミング>
リーダーの共感能力が欠ける場合、メンバーの苦痛に気づくことができず、組織内に不協和音がもたらされる。
感情の自己認識に欠ける場合も、短気や怒りに身を任せてマイクロマネジメントに走ってしまう。

<結果>
仮に、有効なタイミングでペースセッター型が用いられたとすると、絶大で華々しい結果が得られる。
予想を大幅に上回るスピードで、予想よりも高い成果を上げることができる。


6.強制型

<型の内容>
「いいから、やれ。」「やれと言ったら、やれ。」のタイプ。命令に即座に従うことを要求する一方で、その理由をいちいち説明しない。
メンバーが疑問の声を上げると脅しに出る。部下に裁量権を認めず、あらゆる状況を厳格に支配し、監視しようとする。
状況の変化をまたす自ら積極的に事態の打開を図るイニシアチブが特徴。

<有効なタイミング>
危険はあるものの有効なケースも実は存在する。共感能力のあるリーダーが強制型を利用すると貴重な手段となる。
例えば、危機的状況を乗り越えるために、緊急に会社の業績を改善する必要に迫られた時。
火事、台風、地震など緊急事態が起こっている場面など、リーダーが全権を掌握して事に当たることが望ましい。
問題の多いメンバーに対して、すべての方法を試してうまくいない場合に有効となりえる。

<使えないタイミング>
リーダーが感情をコントロールできず、共感能力にも欠ける場合に、最悪のケースとなりえる。
一時的には、状況は改善されるが、最終的には組織は長続きしない。完全に独裁型のリーダーとなる。

<結果>
うまく利用する事ができれば、組織内に強いメッセージを発信し、強制的に変革することができる。


【おわりに】

これまでEQリーダーシップについて、整理してきました。
読んでみて、私が特に課題だと感じるのは、「感情」が組織のパフォーマンスに影響することを、頭ではみんな分かっているにもかかわらず、
その影響度合い、重要性を体感で理解し、実践に移せているリーダーはそれほど多くないのではないか、ということです。

リーダーとは、組織のトップだけでなく、少人数のチームリーダーなどあらゆるレベルでのリーダーのことです。
これまでの仕事の中で見てきたリーダーの方達でも、あまり感情面への配慮をしていないなと感じる場面を多々見てきました。
仕事が忙しくなってくるとネガティブになったり、モチベーションが低くなってしまうリーダーや、マイクロマネジメントをしてしまうリーダーや
できないメンバーがいる、パフォーマンスを叱責るリーダーなど、チーム内のモチベーションを下げる要因を作るリーダーがいました。

そういう感情面を気にしておらず、ただ仕事をしているだけのリーダーの周囲にいるメンバーを観察すると、やはり退屈そうに見えてしまうので、
少し残念な気持ちになります。

「仕事は、仕事なんだから、感情関係なくやるべきだ。」というのは、ある意味その通りだと思う一方で、自分がリーダーの立場で考える際は、メンバーがよりパフォーマンスを上げやすい環境づくりをしたいと常々考えています。

実際にEQリーダーシップを通して学んだことを、仕事で試したことがあったので、どのような成果が出たのかは、別の記事で改めて書きたいと思います。
※「ここから有料です」みたいな感じになってますが、無料で書く予定です。笑


EQの重要性は、国籍関係なく、あらゆる組織でも求められているのだと考えています。私が個人的におもしろかったのが、『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』の本で紹介されている組織作りです。
詳しくは、この場では紹介しませんが、社員の感情面に関する配慮や、組織の文化醸成のための工夫やエピソードが盛り込まれていました。
EQリーダーシップの中で説明されていることとも通じる内容があると思いました。
例えば、

・ITバブル崩壊時に会社の業績が悪化して、本当に優秀で、かつ性格の良いメンバーだけ残して他の社員をクビにした。なぜか、社内の空気が劇的に良くなった。
・仕事を通じてメンバーに率直なフィードバックを行う。ただし、フィードバックする際は相手へのサポートの気持ち、フィードバックを受ける側は感謝することが原則である。
・会社の一員として主体的に働いてほしい。だから、業績に関わる重要情報を社員全員に共有する。

などがあります。
EQが低いメンバーはいかに優秀でも辞めてもらう、フィードバックする側とされる側への感情的配慮、事業に関する透明性など、
EQリーダーシップの中で語られる内容です。


自分がリーダーとなったとき、自分が抱いている感情が周りのメンバーにも伝染していると知ったら、あなたはどんな感情をいだきながら仕事をしたいと思いますか?

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