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零錆戦線

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錆戦日誌13・とある傭兵

錆戦日誌13・とある傭兵

「継ぎ接ぎ幽霊船への風評被害凄そう」
「どうした急に」
「たぶんジャンク財団のエンブレムだと思うんだけど。ほら、最近ネットでよく見るボロボロの帆船のやつ」
「ああ、確かに名前から受けるイメージそのものだな」
「どうするんだろうね。身の振り方とかさ」
「寄る辺なきヴォイドテイマーの寄り合いが後ろ指差されたとして、何か対処をすると思うか」
「それはそう。何なら三大を敵に回しても戦うよね」
「いやちょっ

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錆戦日誌12・とあるライターの取材2

錆戦日誌12・とあるライターの取材2

はい、はじめまして。ジャンクテイマーと接触した記事は興味深く拝見しました。

ああ、驚かれるのも無理はありません。しかし三大所属ならともかく、寄る辺なきヴォイド・テイマーが五体満足でいられるかというと、そうもいかないことはご想像いただけるかと思います。これは友軍を未識別機動体からかばった際の傷跡で――え? いえ、決して当てつけなどでは。そもそもその友軍は、甲斐なく海に還っていますからね。そうした未

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錆戦日誌11・とある整備工場

錆戦日誌11・とある整備工場

焼け焦げた装甲、歪んだ銃身。おびただしい戦いの傷跡を見て、整備士は大きく息をついた。

「どうしてこんなになるまで放っておいたんだか」

命を預ける商売道具なのだから、もう少し気を使ってもよさそうなものだが。どこから手をつけるべきか少し思案して、ひとまず装甲版を取り外すところから始めることにした。

「うわ、フレームもボロボロ。最近多いなあ、変な錆びたフレーム」

試作段階だったアサルト・フレーム

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錆戦日誌10・とある決別

錆戦日誌10・とある決別

返信があったのは翌日の夕方だった。

「死んだのかと思った。この前は雀荘で世話ンなったな」
「テンプランスルビーか。洒落た名前じゃねえか」

こっちにつく気になったのか、とジャンクテイマーは言った。

「冗談じゃない、俺は宣戦布告をしたいのさ」
「真紅に戻りでもしたのか」
「傷跡を調べたのはお前だろう、今更戻れないのはわかってンだ」

グレムリンズ・ギフトは未来への希望を、自らが生み出した兵器に託

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錆戦日誌9・とあるレシピ

錆戦日誌9・とあるレシピ

初ヒノデ・スシ

ヒノデは北北東~北東海域で獲れるウニの一種です。年末年始にかけて漁の最盛期を迎え、特に年明けに獲れたものは初ヒノデとして珍重されます。本日はその初ヒノデのスシのレシピをご紹介します。

材料:
ヒノデ(可食部) …… 100g

メシ      …… 200g
 ビネガー   …… 20g
 糖      …… 5g
 塩      …… 少々

ソイソース   …… 適量

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錆戦日誌8・とある病室

錆戦日誌8・とある病室

「あっ、手術が済んだばかりなんですから、まだ休んでいてください」

平時は軍服に覆われている傷跡もあらわに、半身に包帯を巻いた男はベッドに腰かけて報告書に目を通していた。

「我々はうまくやったか」
「はい。誘導には成功しています」

巨大未識別誘導作戦。融合し、巨大化した未識別グレムリンを交易航路から遠ざけ、あわよくば撃墜しようと画策した。多大な犠牲を払ったが、当初の目的だけは達成できた。量産さ

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錆戦日誌7・とある雀荘2

錆戦日誌7・とある雀荘2

「そもそも世界の不具合ってなんだよって話でさ」

未識別機動体はバグデータだと言われて、ハイそうですかとはいかない。それじゃあ俺たちもただの電子情報だということになる。世界が格納された筐体が壊れたら、夢も希望も過去も未来も、全てまとめて消える無意味な存在になってしまう。
4000年野郎には勝ったのに、とっくに世界は崩壊していましたじゃ笑い話にもならない。

「それに不具合があるってことはつまり、寝

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零錆戦線・改めて逆関節のお話

零錆戦線・改めて逆関節のお話

そういうわけなので、いつもの「n更新目」記事は年明けまでお待ちください。ちょっと試してみたいことがあるんですよ、ハウンドスキュラなんですけれど。

ニアデスコフィンと広域レーダー、コアトルないしジャイロスケートがあるので逆関節から乗り換えても毎ターン捕捉が可能なのでは、というのを確かめてみたいんですよね。優位条件についても踏み倒す手段がないではないというのもあり。
二脚を履いて、加速時超速条件捕捉

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錆戦日誌6・とある想像上の猫

錆戦日誌6・とある想像上の猫

「ここに猫がいる、って聞いた」

雨音列島のあばら家で俺を出迎えたのは、火傷跡と包帯が痛々しい、色とりどりの染みがある白衣を着た爺さんだった。

「ごわごわした合成繊維の塊でも、しわくちゃのバイオ猫でもない、本物のやつが」

爺さんは顎をしゃくって、あばら家の奥までついてくるよう促した。廃材をつぎはぎにしたような廊下、歪んだベッドのある狭い寝室を抜けて、見るからに手掘りの地下室へ下りていく。
地下

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錆戦日誌5・とある取引

錆戦日誌5・とある取引

星の海。真紅連理所属駆逐艦、その船室のひとつで、額を横切る傷跡のある男が椅子に縛りつけられている。
船室の扉が開いて、灰色の服を着た一団がなだれ込んできた。

「お前の雇い主、タワー寄港中の真紅連理船舶に対し、自爆テロを企てた男が帰ってきた」

一団のうち、リーダー格らしい男が言った。
未識別機動体の中にグレムリンが含まれている――その情報はグレムリンテイマーのみならず、三大勢力の首脳部をも震撼さ

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錆戦日誌4・とあるライターの取材

錆戦日誌4・とあるライターの取材

「幽霊だあ? グレムリンに乗ってたら、霊障なんざ日常茶飯事よ。この前だって急にエンジンが不調に――なに、見たことがあるか? まさか。もし見つけたら撃ち落としてやるよ、おかげで何度死にかけたか」

「同じアセンブルの機体なんざごまんとあるし、エンブレムが似てるなんてこともしょっちゅうだ。それに救済の日まで休んでるだけの死者が、わけもなくその辺をうろついたりするかよ(※1)――翡翠の偉いさんが何か言っ

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錆戦日誌3・とある雀荘

錆戦日誌3・とある雀荘

霧的麻雀――悪鬼の部位と数字とが刻まれた牌を集め、決まった役を作り、他の参加者から点を奪う。そうして誰かの持ち点が尽きるまで繰り返す。歴史は無駄に長いらしく、このゲームの由来を知る者はいない。いや、今はそれどころではない。

「どういうつもりだって聞いてンだよ」

上家の男を洗面所に呼び出した。2局まではついていると思っていたが、3局で疑念に、今しがたの4局で確信した。

「お前、わざと振り込んで

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錆戦日誌2・とあるジャンクテイマー

錆戦日誌2・とあるジャンクテイマー

食糧が底をついた。干しておいた虚空魚――脚が3本生えているが、頭と尾びれがあるから魚だ――にいよいよ手をつけなければならない。

「しかもよくわからないメカを買えだあ? 冗談じゃねえ」

アレッポだかハトポッポだか知らないが、突然やってきてセールストークを始めやがった。あのくたびれた印象の営業マン(※)は、どうやって俺を捕捉したんだか。
零力照射気嚢。鹵獲した未識別機動体からリバースエンジニアリン

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錆戦日誌1・とあるラジオ番組

錆戦日誌1・とあるラジオ番組

こんばんは。ラジオの電源ケーブル繋いで(※1)ますか? 未明の説法ラジオの時間です。
お相手は (8秒間のノイズ)、この放送はアキハバラ・マシンヘイヴンとは実際無関係。たまたまこの時間、この周波数でお送りしています。
あ、そういえばわたしこの前アレ買ったんですよ、ゲーミングチェア。これを命がけで運んでくれた人たちがいるんだなって思うと、こう、背徳感がありますね。

(チップチューン風のジングル)

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