錆戦日誌13・とある傭兵
「継ぎ接ぎ幽霊船への風評被害凄そう」
「どうした急に」
「たぶんジャンク財団のエンブレムだと思うんだけど。ほら、最近ネットでよく見るボロボロの帆船のやつ」
「ああ、確かに名前から受けるイメージそのものだな」
「どうするんだろうね。身の振り方とかさ」
「寄る辺なきヴォイドテイマーの寄り合いが後ろ指差されたとして、何か対処をすると思うか」
「それはそう。何なら三大を敵に回しても戦うよね」
「いやちょっと名前を目にしたことがあるだけのユニオンをして、そこまで断言するのもどうかとは思う」
「そんなもんか。アタシらの場合はどう?」
「さすがに三大は御免被る」
「え、まさか、解散の危機?」
「今まで世話になったな。ここ俺の名義で借りてる船だから、とっとと荷物をまとめて出て行ってくれないか」
「アンタグレムリンには乗れても操船はからきしじゃん。秒で干上がってもいいなら喜んで降りるけど」
「部外者に操縦をさせるわけにはいかないから、お前もここで干上がることになるな。もしくは港まで泳ぐかだ。レンチ取って」
「はい。ここからだといちばん近いのは赤の海の真紅工廠かな。お世話になりたくない場所のひとつだよね」
「だろう。ここはひとつ我慢して、もうしばらく俺の右腕として働いてもらおう」
「どっちかっていうとアンタただの渉外担当でしょう。役割的にはアンタが右腕」
「さっきも言ったがここは俺の船だ。お前の腕は買うが、船長の指示には従ってもらわんとな」
「アイ、サー。ところでアラート出てない?」
「ジャンクじゃなければ未識別だ。ひと働きしてもらうぞ」
「お断る。そもそも真紅工廠にコンテナ配達っていうのも、アタシは乗り気じゃなかったんだよね」
「頼むよー、巨大未識別の時にやらかしてから船のレンタル代が割り増しになってるんだよー」
「そういうところがめついよね、真紅……」
「認証、ヤルンサクサ。我が未来に希望を」
「認証、ベルセルクル。我が傷跡に祝福を」