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経営計画発表会で銀行からの信頼を得る

[要旨]

阪神佐藤興産は、毎年、経営計画発表会を開いているそうですが、全従業員を参加させるだけでなく、取引金融機関を招いているそうです。そして、会社のすべての状況を、社長自らが、全従業員の前で説明することから、それは嘘ではないと言うことを金融機関にも納得してもらうことができ、その結果、無担保無保証で融資を受けることが可能になっているそうです。

[本文]

今回も、前回に引き続き、阪神佐藤興産の社長の、佐藤祐一郎さんのご著書、「小さくても勝てる!~行列のできる会社・人のつくり方」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、阪神佐藤興産では、経営コンサルタントの方からの助言により、無借金経営を止め、銀行から借入を行うなどして、現在は、年商とほぼ同じくらいの手元現金を持っているそうでが、このことが、一度に多くの工事を受注できることを可能にしており、社長の佐藤さんは、競争力が高まったと考えているということを説明しました。

これに続いて、佐藤さんは、銀行からの融資を、無担保無保証の条件で受けていることについて述べておられます。「借入れは、無担保無保証です。なぜ、こうしたことができるのか。当社では、毎年、年度始めに、全社員が参加する、『経営計画発表会』を開き、その場に取引銀行をお招きしています。経営計画発表会では、当期の方針や数字について、来賓、そして社員たちの前で、社長の私が自ら発表します。来賓、社員たちの前では、嘘をつくことができないし、聞く側の社員たちの様子も見られている。会社の未来を数字で表す経営計画書をつくり、会社の姿をすべてお見せするから、金融機関も信用してくださるわけです」

この、経営計画発表会に銀行を招くことによって、銀行から信頼されるということについては、ほとんどの方が、直感的に、その通りであるとご理解されると思います。また、業績が良いか悪いかに関係なく、どんな会社でも、経営計画を策定し、銀行職員を招いて発表会を開くことはできますので、現在、銀行との関係が疎遠になっている会社は、経営計画発表会を開催する意義は高いと思います。また、先をなかなか見通すことができない中にあって、経営計画を作成する意味は少ないと考える経営者の方も少なくありません。

確かに、経営計画は、事業の将来の見通しを示す側面もありますが、それよりも、役職員が目標に向かって計画的な行動を行うためのツールであるという側面が大きいと言えます。将来をなかなか見通せないからといって、成行的に活動するよりも、計画的に活動する方が、業績も高くなることは間違いないでしょう。だからこそ、阪神佐藤興産の経営計画発表会に参加した銀行職員は、同社を評価するわけです。そして、経営計画発表会のもうひとつの重要な要素は、自社の事業は組織的に行われているということを示すことになるということです。

このことは、いわゆるオーナー会社は、経営者と会社の間で公私混同が行われているのではないかと銀行から懸念されることもありますが、会社の事業が組織的に行われているということが分かれば、公私混同も行われることはないと確信してもらえるということです。そこで、銀行は、そのような会社に対しては、経営者への保証を求めることもなくなるわけです。とはいえ、今まで経営計画書を策定したことがない会社が、いきなり、経営計画発表会を開くことは難しいということも現実でしょう。そこで、経営計画書を事業の改善に活用したいと考えている経営者の方は、顧問税理士、商工会議所、中小企業診断士などにご相談することから始めてみることをお薦めします。

2023/12/21 No.2563

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