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『経営ごっこ』では会社を継続できない

[要旨]

会社を設立すれば、容易に経営者に就くことが可能ですが、その一方で、5年以内に8割の会社がなくなってしまうと言われています。その要因は、事業だけに目が向き、経営者としての原理原則を学ばずに経営者に就いてしまう方が多いからのようです。

[本文]

今回も、前回に引き続き、山田修さんらのご著書、「プロフェッショナルリーダーの教科書」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。同書には、シェル石油(現、昭和シェル石油)、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップなどで要職とお務めになられた、新将命(あたらしまさみ)さんもご執筆されておられます。

「伸びつづけている会社、勝ち組企業というのは、人材育成に対して手抜きをしていません。景気が悪くって、利益が去年の半分になったときに、教育訓練費を増やすような会社です。人づくりを、コストではなく、投資として考えています。(中略)この流れのどの1つのツボをを外しても、会社は短期的にもうかることはできても、長続きはしません。(中略)会社を設立するのは簡単です。若干の資本金を集めて、何か技術をもっていて、部屋を借りて、従業員を雇えばいい。

(このように、会社を)つくるのは簡単ですが、難しいのは維持することです。設立された会社の8割が、5年以内に消え、その後、さらに5年以内に、残った2割のうちの8割が消えてしまう、8年位で90数%が海のもくずとして消えてしまいます。私から見ると、多くの若い起業家がやっているのは、経営ではなくて、『経営ごっこ』です。経営の勉強をしていない人は、経営者になる資格がないのです。原理原則を学ぶことなく、自己流で経営をやるのは、非常に危険です」(81ページ)

私自身も発展途上の身であり、「新さんがこう言っているのだから、経営者の方は、きちんと経営を学ぶべきだ」などと、上から目線で述べるような立場にはありません。ただ、「経営者に就く」ことは、新さんも述べておられるとおり、会社を設立するだけで可能です。資格試験などはないため、簡単であることは事実だと思います。そういった面があるため、組織的な活動である会社を維持することができず、「8割が5年以内に消える」のだと思います。

でも、これは、裏を返せば、「原理原則」を学べば、会社を継続することが可能であるということだと思います。「8割が5年以内に消える」のではなく、「8割が5年後も事業を続けている」状態になるためにも、若い経営者の方の多くが、新さんのようなプロ経営者の示す原理原則を学ぶことは、VUCA時代と言われる現代には、より重要だと思います。

2022/7/2 No.2026

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