【創作note】おじいさんの焼き飯
心身が疲れて始めることができない
疲れることは傷つくことだ
おつかれさまを繰り返す度に
随分と傷ついてしまった
何かの助けが必要な時に
おじいさんは焼き飯を作ってくれる
箸を持つことは億劫だけど
スプーンくらいは持つことができる
辛くとも一口をすくって口に運ぶ
「ああ。おじいさんの焼き飯だ」
ぎこちなくとも一口をすくって口に運ぶ
一口を味わうと自然ともう一口へと動く
「ありがとう。おじいさん」
おじいさんの焼き飯を口に運びながら
僕は少しずつ自分を取り戻していく
「ああ。やっぱりこれなんだ」
一口一口おじいさんの手による
作品を取り込みながら
僕は少しずつ元気になって行く
「ありがとう。おじいさん。思い出したよ」
一口一口
ほんの小さな仕草を繰り返しながら
生き物は生きていくんだね
「おじいさん。僕はもう大丈夫だよ」
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?