進学クラスの良いところ
うっかり進学クラスに入ってしまった高校時代は、まさしく課題とテストまみれの日々だった。
自ら決めた進学先であったのに、
楽しそうにはしゃぐ普通の高校生をみるたびに、時折、何か騙されたような気にもなった。
「私の高校生活はこんなことでいいのか?」
ところが、こんなことを考えているのは生徒ばかりではなかった。
大量の課題を与え続ける一方で
先生方もまた
「こいつらの高校生活こんなんでいいのか?」
と考えてくれていたのである。
先生方はさまざまなな余談をしてくれた。
国語の女先生は、大学時代コーラス部に所属していた。
コーラス部のメンバーでカップルが集う名所に行っては雰囲気ぶち壊しの歌をみんなで歌うイタズラをしていたらしい。
そしてその場を去る時は、他校の校歌を歌いながら消えてゆく。
そして手痛い失恋をした時に、しばらく声が出なくなってしまったことも話してくれた。
コーラス部なのに。
家庭科の女先生は
自分の大学生の時のデートの話をしてくれた。
楽しそうだった。
いつかお洒落して彼氏と不二家でランチをしたあと神戸をぶらつくことになるのかと想像した。
数学の先生は
「受験に限っては…受験に限ってはですよ。入学した時明るいやつより根暗な方がいい。明るいやつは受験勉強の途中で高確率で人生について考えだしたりする。」と話した。
私はこの「受験に限っては」という部分に何故か救われた。
それから我々にイタズラを教えた。
次の歴史の授業で先生がしゃべる度にうんうん頷けというものである。
スカした態度のクラスだったので、次の歴史の授業の先生のうろたえぶりったらなかった。
歴史の先生は若くて大学時代のバカ話や、歴史好きになったきっかけの戦国武将ゲームについて熱く語った。あと阪神ネタ。
先生達の熱い想いが伝わりすぎて、なんだか照れ臭かったのかもしれない。
男子達は特に冷めた態度でリアクションなく聞いていた。
でもね心ではみんなちゃんと聞いていた。
先生達にテキトーなあだ名をつけたりして、私達なりに親しみを覚えていたのだ。
進学クラスはリアル充実とはほど遠かったけれど、いいなっていう大人の態度に触れることができたような気がする。
一致団結のような盛り上がりは一切なかったが、3年一緒に勉強漬けで、絵に描いたような青春高校ライフを味わうことのなかったクラスメイトは、今でも戦友のようで、家族のような存在だ。多分、会ったりしなくてもこれからもずっと。
ウキウキすることばかりも良いが
しんどい時間を共有すると
キレイなものがけっこう見つかる。
けどねー。
私は次生まれ変わったら
今度は浮かれた女子高生ライフを
是非楽しみたいね!
次は記憶がないから
今から浮かれたる!♬
今からでも遅くないぞ
私!
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