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ブレないイーストウッド~「クライ・マッチョ」

クリント・イーストウッドの映画、初めて映画館で観た。
それが今回の作品。御年91歳にしていまだ現役。2022年公開「クライ・マッチョ」

クライ・マッチョ_チラシ_001

とはいえ、やはり90歳を超えた老齢は隠しきれず、足元もおぼつかず、声もしわがれていて、最初は「大丈夫か?」と思ってしまった。

主題は、「真の強さは何か」というもののようだ。
マッチョとは、男性的で力強いことを志向するスタイルと言えようか。しかし、それは虚勢に過ぎないということを、道連れの少年に説いていく。

イーストウッド自身のキャリアを振り返ると、若いころから”マッチョ”とは一線を画してきていたことが窺える。

「ダーティ・ハリー」では、ハードボイルドをかこってはいるが、常に人間の影を抱えている。「許されざる者」も銃の腕前は一流でも、愛する人との別離という悲しみを伴侶としていた。「ミリオンダラーベイビー」は、、言わずもがな。
70~90年代のかなり浮足立った時代を、第一線で走り続けてきているのに、決して憧れられるようなヒーロー像からは距離を置いてきているのだ。
そういう意味で本作もまったくブレがない。
大きな山場があるわけではなく、むしろ静かに物語は進んでいく。

しかし、「英雄色を好む」と古くから言われるが、ちゃっかり自身のいいシーンを挟んでくるのは、相変わらずか。90過ぎのジイさんがそんな簡単に惚れられるかなぁ。

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