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多様性≒バトルロイヤル??~「奴らを高く吊るせ!」

イーストウッドの作品は、右寄りなのか左寄りなのかしばしば議論になると言う。ジョン・ウェインはバリバリの右寄りではあるが。
そんな彼の作品の転換点とも言うべき作品がこちら。1968年公開「奴らを高く吊るせ!」

名作と言われる映画はどれもそうなのだが、特に彼の作品にはアメリカという国の持つ業が色濃く描かれているように感じる。
本作では、イーストウッド演じる保安官がいて、本来であれば公正・公平たる判事がいて、私刑を犯してでも自分の身を守らんとする住民がいるのだが、次第に誰が本当に正しいのかが分からなくなってくる。あえてそうしているのではないだろうか。

彼らは常に拳銃を携えていて、結局は理屈・法ではなく力の支配で物を言わせる。すなわち彼らの「正義」は歩み寄ること・妥協しあうことはなく、やるかやられるかの歴史なのだ。そうやって今日まで歩んできた国であるということ、それがお上と平民とで分断されてきた日本とは大きく違う点なのだと思う。

いまはそれらの「正義」が、思想であり所得水準であり人種といった違いに拠っているわけで、ここ数年では性というファクターも加わってくる。もう文字通りの千差万別。

その千差万別のグループ同士が、この映画のようにいがみあい殺し合うまさにバトルロイヤル状態。それが近年金科玉条のように言われている「多様性」の行き着く果て・・・なんてことにならなければいいけれど。我々はそこまでの覚悟ができているのか、胸に突き付けられているような作品であった。

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