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2023年4月の記事一覧

〖詩〗 つり革

〖詩〗 つり革

かえりの列車で
手をふる人

しずかな発車で
傾いたつり革

町は 遠ざかっていく

いつまでも
慣性の法則が はたらいている

〖詩〗 アヒル

〖詩〗 アヒル

けさ 生まれてきたかのように
白く ふくらみきった 臀部

日の糧を 食むたび 
水面より
あらわるる愛嬌

〖詩〗結婚報告

〖詩〗結婚報告

母の骨ばった手から
私のカサついた手へ
わたった南瓜

「今朝、とれたのよ」

もうすっかり秋なのに
薄緑の南瓜
不安な南瓜
「雪化粧っていってね
 季節遅れで色白の
 そういう種類なのよ」

ヘタは立派だな
小さくもそびえている
初夏には
青く脈打っていた
柔らかな茎が
まるで骨のように
美しく固まって

「またお正月、ね
 二人で、ね」

帰りの電車で
隣の肩に
頭を預けている

家の前
いつ

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〖詩〗 葡萄

〖詩〗 葡萄

葡萄1

夜の卵

葡萄2

月をくるむ
夜空の風呂敷

葡萄3

群れているけど
ひとりにしたって
平気みたい
身ぐるみ剥がされたって
いよいよ美しく
発光している

〖詩〗 もみじ

〖詩〗 もみじ

もみじの掃くのは
小苦労だのに
花の時期には退屈よ

たわわの葉や
ふってこい
ふってこいと

幸福をまつ
心地よ

〖詩〗 夜

〖詩〗 夜

寂しさに
負けまいと
身をかたくしても

ぶるぶると
粟立つ心

夜は寂しい