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2023年4月1日 23:49
かえりの列車で手をふる人しずかな発車で傾いたつり革町は 遠ざかっていくいつまでも慣性の法則が はたらいている
2023年4月2日 17:50
けさ 生まれてきたかのように白く ふくらみきった 臀部日の糧を 食むたび 水面よりあらわるる愛嬌
2023年4月3日 22:25
こんな日はトビウオになってうみの あお もそらの あお も知りたい
2023年4月4日 23:19
笑った記憶を刻んでる脳みそよりもおぼえてる
2023年4月5日 21:52
母の骨ばった手から私のカサついた手へわたった南瓜「今朝、とれたのよ」もうすっかり秋なのに薄緑の南瓜不安な南瓜「雪化粧っていってね 季節遅れで色白の そういう種類なのよ」ヘタは立派だな小さくもそびえている初夏には青く脈打っていた柔らかな茎がまるで骨のように美しく固まって「またお正月、ね 二人で、ね」帰りの電車で隣の肩に頭を預けている家の前いつ
2023年4月6日 22:13
葡萄1夜の卵葡萄2月をくるむ夜空の風呂敷葡萄3群れているけどひとりにしたって平気みたい身ぐるみ剥がされたっていよいよ美しく発光している
2023年4月16日 00:28
もみじの掃くのは小苦労だのに花の時期には退屈よたわわの葉やふってこいふってこいと幸福をまつ心地よ
2023年4月23日 23:50
寂しさに負けまいと身をかたくしてもぶるぶると粟立つ心夜は寂しい
2023年4月26日 19:31
ご機嫌な川っぷち青む草草人は嬉しげねこはふくらむ