世界を変えたいなら、まずは学べ
2022年になってから新たに読んだ本は、下の二冊。
ともに、世の中において弱者やマイノリティとされてしまう人と、それに伴う生きづらさ・差別を扱っている。
弱者/マイノリティと聞くと、どんな人たちを思い浮かべるだろうか?
私は、弱者=障がい者、マイノリティ=LGBT、というイメージが一番強い。
イメージはたぶん人それぞれで、自分を含む身近な人の中に当事者がいるかどうか、さらには教育やメディアからどんな影響を受けてきたかにも左右されると思う。
しかし、これはあくまで私の生きている世界、もっと言えば、私の見えている世界に存在する弱者/マイノリティであって、本当の意味での世界には、数えきれないほどの弱者/マイノリティが存在する。そしてそれには、さまざまな形がある。
『マイノリティデザイン』の著者である澤田さんは、息子さんの視覚障がいをきっかけに「世の中のあらゆる弱さこそ社会の伸びしろ」だと考えるようになった。マイノリティや弱さを広く捉えており、例えば運動音痴も一種の社会的弱者(スポーツ弱者)なのだと気付かされる。気付いた弱さが切り口となり、社会を変えていく。
この本は、澤田さんの歩みとこれからを知ることができるのはもちろん、私たち読者のこれからを導く手引きにもなっている。まさに、私がやりたいことはマスに向けたものではない。これから何度も読み返すことになるだろう。
『サード・キッチン』は、アメリカの大学に進学した日本人女子学生が主人公の物語。大学には人種や社会階層、文化、ジェンダーなどが異なる学生が集まる。立場が違うと、思うところも違う。理解や共感できる範囲にもずれがあったり、互いにステレオタイプで傷つけ合ってしまったり。
私は学生時代、正直歴史の授業がしんどくて仕方なかった。つまらなかった。めちゃくちゃに寝ていた。しかし、日本人として真摯に学ぶべきところを見逃してきたのかもしれない。この物語を読んでそれに気が付いた。
私が漠然と抱いているもやもやと、それを自分の力で打破(という言葉が正しいかは分からない)していきたいという思い。最近はそれに押されて、勝手に焦りさえ感じてしまっていた。早くしないと、時間がないぞ、なんて。
でもまずは、学ばないと始まらない。この二冊を読んで、それを強く実感した。「世界を変えたい」という思いだけで突っ走っても頭でっかちで、同じ思いを持つ仲間と出会うには、一緒に歩みたいと思ってもらえるくらいの信念を持たなくてはならない。そのためには勉強が不可欠なんだ。
いつか、マイノリティが今よりもっと生きやすい世界にしたい。
今は、学ぶ時間だ。
(大きなこと言ってみたって、いいじゃないか!)