メンタルヘルスケアこそがヘルスケアの最重要領域である
私が講演や講義で、冒頭に、 必ず説明している事があります。
メンタルヘルス・ケアこそがヘルスケアの最重要領域である、と。
これは、私が精神科専門医だから、主張していることではありません。
データ、エビデンスに基づいた事実です。
WHOが開発した疾患による損失コストの指標に、DALY(Disability-adjusted life year)があります。
日本語訳は,障害調整生命年、わかりにくいですね。疾患による負荷を総合的に示す指標で,疾患や障害による早死だけでなく,健康的な生活の損失の程度を勘案したものと なっています.具体的には,損失生存年数(疾患により失う命の年数)と障害生存年数(障害を抱えて過ごす年数,障害の程度によって重み付けされる)の合計によって計算されます。
先進国では、DALYの最大要因がメンタルヘルス不調(精神疾患および依存症、認知症を除く)で、DALYの10~13.5%を占めます。高齢化社会に伴う、認知症等の神経疾患も大きな課題であり、あわせると20~25%に及びます。これはDALYの最大要因で、悪性腫瘍より大きいのです。米国では、DALYに基づいて、ヘルスケア領域の研究費が振り分けられるというように、脳科学を含めたメンタルヘルス領域に、多額の研究費が投入されているわけです。
また、医療政策の決定に取り入れている国々も多いです。日本でも、厚労省が実施する医療計画で5大疾病の内の1つに精神疾患が入っています。
なぜ、これほどまでに、メンタルヘルス不調が、DALYの主要な要因となるのでしょうか。先進国に共通しているのは、10代から30代の死因のトップは自死である、ということです。日本では、40代の死因の2位も自死となっています。また、10代後半から20代前半は精神疾患の好発年齢(高確率で発症する年齢)だからです。
以上から、DALYに基づいて、そのまま考えるならば、メンタルヘルス・ケアこそが、ヘルスケアの最重要領域、ということになります。
日本では、1976年以降、年間の自死者数が2万人を下回った事はありません。1996年からは年間3万人超の自死者数を数える事が、16年連続続きました。
しかも自死は氷山の一角です。 社会的引きこもりは2019年3月の調査では100万人を超えると内閣府調査で報告されました。これらの調査研究でも、メンタルヘルス不調を隠す傾向にあり、実際は過小評価されている可能性があると考えられます。
この社会的課題を解決するために、マイシェルパを立ち上げたわけです。
「メンタルヘルスについて、もっと語ろう」、というメッセージを、すべての人々に届けれるように、とりくんでいきます。
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