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3分で読めるエッセイ|ベルリオーズ 幻想交響曲 第五楽章|

禁断の名曲、幻想交響曲。レナード・バーンスタインが、「史上初のサイケデリックな交響曲」と評したという。作曲者のベルリオーズが幻想の果てに見た景色が描かれている。

 

第一楽章から第四楽章まで、途切れることなくストーリーと映像が浮かぶ。その多くはとてもグロテスクだ。思いを寄せる女性を幻想の中で殺害し、死刑宣告をされ断頭台へと行進。まさに首が切り落とされる第四楽章。その直後、主人公が目を覚ますのは、ワルプルギスの夜のこと。その第五楽章について、特筆したい。

 

忌み嫌われるその夜の出来事を、ベルリオーズは克明に描写している。どす黒い気配の中目が覚めると、魔女なのか、悪魔なのか、甲高くケタケタと嗤う声が聞こえる。あざ笑われているのは主人公だろう。喪を告げる鐘が鳴り響く。重厚な低弦は亡霊たちの行進なのか。そして祭りが始まる。リズムに乗る魑魅魍魎たち。「ドーレーミミファソーラファーミレードシラソソラシドーソミファソラーミドレミファレーレーレソー」という旋律の登場と転調。魔女たちがスカートを翻し、踊る、踊る!踊る!!

 

醜悪だろうが、忌み嫌われていようが、何よりベルリオーズ自身が病んでいようが、この第五楽章のもつ爆発的なエネルギーの前にはひれ伏さずにはいられない。大狂乱の中、クライマックスで曲は終わる。

 

「毒性」をもつ楽曲である。聴くたび、毒に当たりそうになる。ひょっとして、ケタケタと嗤う悪魔は、ベルリオーズ自身なのではあるまいか。毒気に当たる後世の人々を、楽曲の中から今日もあざ笑っているのではないか。彼の放つ毒は、今日も私の人生のスパイスとなり、毎日に刺激を与え続けていてくれる。

 

 

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