「計算力の違いがどのような学力差を生むのでしょうか」
ありがたいことに、多くの親御さんから日々計算・算数に関するご相談を
いただきます。
当塾は教育に関心が高い地域にあるため、小学受験・中学受験を念頭にした方が多く通ってくださっています。
そのため特に算数において「計算が重要」ということは
多くの親御さんが様々な情報に触れご理解されていると感じています。
日々、親御さんからお話を伺いご相談内容について詳しく確認していくと
多くの方は計算が重要だとわかっていても
実際にお子様の
「計算力があった場合となかった場合に、学力の違いがどれくらい生じるのか」
ということをイメージすることが難しいため、ご質問をいただくというのが背景にあると感じます。
それは当たり前のことです。
実際に私も、教育関連書・講師や先生向けの講座など様々な角度で調べてみましたが、親御さんがわかるように計算力の差が学力にどのように影響するか比較されているものは見当たりませんでした。
ですので今回は、
試行錯誤されている親御さんの気持ちが少しでも軽くなればよいなと思い、
「計算力の違いが生む学力差はどれくらいあるのか」という観点で
記事を書くことにトライしてみようと思いました。
ご相談にいらしたお母様・お父様にこのお話をさせていただくと
『そんなに違いが表れるんですね!今知れてよかったです!』
と、パッと笑顔になり安心されていく様子をたくさん見てきました。
このブログをお読みの方も「計算力の違いが生む学力差」を理解しておくだけで計算・算数については、最適なタイミングで必要な対策がとりやすくなると思います。
お忙しい親御さんでも4分程度でサッと読めるようにまとめていますので、学校・園・習い事等の送り迎えの合間や、通勤時間などにでもお読みいただければうれしいです。
▼小学校算数の問題はすべて「計算」にたどり着く
小学校1年から6年までの算数は、答えを出す過程で計算がすべてです。
高学年になると図形、比、割合、Xの文字式、文章題…と様々な範囲を習いますが、解き方や考え方を理解し、式を書いたら最後は計算をして答えを出します。
小6までに求められる計算力、もし中学受験をお考えであれば
小4までに到達しておくと良いレベルというのは、
たし算、ひき算、かけ算、わり算を使った整数・小数・分数の計算
整数、小数、分数が混在した問題
これらを間違えずに早く解くことができる力です。
▼特に重要なのは「間違えずに早く解く」暗算力
では、間違えずに早く解く暗算力があるとどのような優位性を
持てるのでしょうか。
暗算力のレベルにより、算数を教えられたときに理解し習得できる時間が異なることがわかりました。
ここからは具体的に、ご相談いただいた例でお伝えしたいと思います。
有名受験塾に入塾を検討中の小3生徒様の親御さんから同時期に
ご相談をいただきました。
計算塾では一覧表で暗算力をお約束しており、
生徒様は暗算力のゴールに向けて継続して学び続けています。
暗算力を身につけている過程でご相談をいただいた時点では
1人は、暗算力が37か月目のAさん、
もう1人は、暗算力が31か月目のBさん。(※1)
<図1>(※1)ご相談いただいた時点での小3暗算力の比較
当塾では、計算力とは計算の解き方を知っていることと定義し、
暗算力は身につけた計算の解き方を使って暗算で(筆算せず)解けることを指します。
(※1)上記は週に2時間の授業でどんな計算ができるようになるのか
「絶対できる!暗算力一覧表」で、親御さんにお約束しているものです。
Aさん、Bさんそれぞれのお母様からちょうど同時期に学習塾のテストのことでご相談を受けたのですが、偶然にも同じ学習塾を希望されていました。
生徒様が暗算力のゴールに向けて学び続けている過程の中でご相談をいただいた時点では<図1>の通り、今は暗算力に6か月の差がある状態です。
(全員が習得できる暗算力の違いに差が生じませんが、習得するゴールまでの間には自宅で取り組む時期もあれば、やむを得ず欠席することもあったりと、計算塾での学習時間に差が生じるため暗算力に差がでています)
どのように対策をとるべきかお話をさせていただいた結果
テスト対策のため2人とも同じ授業を受けることになりました。
▼暗算力の差が4倍の学力差を生む。
当塾では文章題、分数、小数なども「橋渡し学習」と位置づけ、
学校が求める基礎学力と学習塾が求める基礎学力の 乖離部分 を埋める
授業を行っていますが、
ご希望の受験塾のテストでは確実に出題される問題として
今回は むしくい算 の授業を受けていただくことになりました。
Aさんは、計算塾に通われていないお子様と比べたら、
すでに小4~5レベルの暗算力を身につけていたので解き方を確認したらすぐに理解していました。
2時間のレッスンでテストの合格レベル、かつ上位クラスレベルまで理解し、必要な問題数をきっちりこなしていました。
Bさんは、現学年と同等の小3レベルの暗算力ですので、暗算力を高めながら解き方を理解していきました。
そのため、Aさんと同じ問題を理解し解き終わるまでに8時間のレッスンが必要でした。
つまり、ご相談いただいた時点での暗算力の差で比較すると
必要時間が4倍も変わることがわかりました。
一般的に、学力の差と聞くと「お子様の持つ能力の差」と想像される方が思いかもしれません。
しかし、計算はそもそも正しい方法で数多く繰り返せば確実にできるようになるものです。
詳しくは*暗算力は正しい方法で繰り返せば全員ができるもの*
後日ブログでご紹介します。
計算は確実に身につくものであるという前提で考えた場合に
算数の内容を理解し定着できるまでの時間は
お子様の能力よりも暗算力の差が大きく影響すると感じています。
ご相談いただいた時点での暗算力の差により、
AさんとBさんの 虫食い算 の学習習得に4倍の差が生じた背景を、
実際の授業の様子から比較していきます。
(2人とも暗算力を高めている途中なので、ご相談の時点での暗算力には差が生じていますが、継続していくとゴールは全員が同じ暗算力レベルに到達していきます。最終的に習得できる暗算力のレベルに差は生じませんので、ご安心いただければと思います)
<図2>比較
一般的には、復習として授業で習ったことを習得するために一定の問題数をこなし解いていきます。
暗算力がある状態で算数の勉強を積み重ねた方が結果的に様々な単元で習得できるまでの期間を短くしていくと感じました。
なぜなら1問あたりにかかる時間が短縮できるため、繰り返し解く問題数を増やすことができるからです。
今回は、私たちがこのように教える機会をいただけたことによって、
暗算力によって虫食い算の習得までの時間差が生じることがわかりました。
今回の比較はあくまでも「今の時点での」暗算力の違いから
1つの単元で4倍の差が生じたことをまとめましたが、
習得までの時間差が、図形、文章題、比などすべての算数の単元で生じてくることを考えると、様々なところで「計算力が重要」と言われていることの意味も理解しやすくなりませんか。
今回は小3を事例に取り上げましたが年少~小5まで全く同じことが起きていて
暗算力の差が、算数の単元を理解できるかどうかの下地になっていることがわかりました。
(「暗算力の差」というのは、学んでいる過程で差が生じることを指しています。やる気になって自宅学習時間が多かった、やむを得ずお休みをしたなどの理由から計算塾での学習時間に差が生じるため、ゴールに向けた過程では暗算力に差が生じていますが、最終的に習得できる暗算力のレベルに差は生じませんので、ご安心いただければと思います。)
▼暗算力を確実に身につけることが最重要
計算塾ではお子様が確実に暗算力を身につけることが、学ぶべきことを決められた期間でスムーズに習得でき、学年が進むにつれて習う単元でもお役に立てることだと考えています。
それは、「できるだけ早いうちに身につけておくべきこと=暗算力」のように、算数において何から取り組むべきか優先順位を決めていけたとしたら、親御さんがお子様のサポートもしやすくなるかと思ったからです。
高い基礎暗算力は4歳・5歳から計算のお勉強をし始めておくことで
確実で習得できるものです。
もし今は明確に決めていないとしても、将来的に、受験対策・入塾対策など本格的に算数の応用に入っていく必要が出てきたときに、
高い基礎暗算力を身につけていることができれば、
習得までの時間を短縮しより効果的に実力を発揮しやすくなります。
さらに計算を学び始める年齢が低いほど、
計算力の高さがわかりやすく評価されやすくなります。
計算力が評価されて、インターナショナルスクールに2年飛び級合格の例があります。(年長→小2)
*なぜ計算を学び始める年齢が低いほど、計算力が評価されるのか*
については後日ブログでご紹介します。
このような結果を日々の授業で感じているので、
私たちは「暗算力を確実に身につけることができる」ことが最重要だと考え、親御さんに「絶対できる!暗算力一覧表」をもとに、
毎月どのような計算ができるようになるのかお約束しています。
この内容について、あるいは計算・算数のことでご質問などがございましたら、ささいなことでも構いませんので、ご連絡をいただければうれしいです!
最後までお読みいただきありがとうございました。