心理相談室の経済的な安定について
心理相談室の経済的な安定について
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」
確定申告のシーズンです。私は病院在職中から、給与所得が複数あったため確定申告自体には慣れているのですが、今回は、複数の所得区分に係る収入や諸控除がこまこまとあり、結構面倒くさい(笑)です。収入内訳別表というのを初めて使った…。
それはさておき。心理相談を有料で行うということについては、諸先輩方がさまざまに論じています。その議論の多くは、料金をいただくことの機能面(お金のやり取りをすること自体の治療的な意義)に割かれていると感じられるのですが、私は、心理支援が契約である以上、支払う側のクライエントへの治療的意義だけでなく、受け取る側の心理士の“責務”についても明らかに語られるべきだ、と考えています。
私の相談室では、単回の心理ガイダンスもお引き受けしてはいますが、多くの場合、心理支援はクライエントの主訴が解消される目途がつくまで、継続して行われるものです(少なくともほとんどのクライエントはそう“想像”“期待”して来談する)。あるセッションの支払いは、その回だけでなく、継続されるべき心理支援全体への支払いの一部とみなされます(陳腐な例えですが、美容脱毛に都度支払う料金は、望む部位の脱毛が全て完了する数回の支払い全体の一部、というのと似ています)。ですから、有料の心理支援を行う心理士の“責務”の一つは、「心理支援を近未来も継続できること」にあるといえます。
クライエント様からいただいた代金がそのまま、時々の経費の支払いに流れていく、いわゆる自転車操業の状態の下では、心理支援の継続はいささか不確かです。私が自分の相談室を始める時には、無収入のままでも十年ほどは現在の環境を維持できる資金のストックを準備しました(ちょうどコロナ禍の真っ只中で、対面での心理相談がどこでも苦戦しているのを知っていたので)。
おかげさまで当室は、当初の見込みより資金面では余裕をもって運営できており、資金ショートによる運営中断の怖れはありません。どうぞ安心してご来談ください(相談室の運営状態をある程度具体的に開示できるといいのかもしれませんが、さすがにその“勇気”はまだなく、将来の検討課題とさせていただきます)。
(おわり)