明治村のすゝめ
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
文豪夏目漱石の書いた文は今でも色褪せない。吾輩(猫)の視点から人間模様を描いたり、猫同士のやり取りなんかも面白い。
そんな夏目漱石が暮らした家が愛知県の明治村に移築されている。猫用の扉があったりして、建築的な視点からしても面白い。今でも猫と暮らせる家などは人気があるではないか!
吾輩は小説の中では名前も付けられておらず、あまり良い扱いは受けていない。隣の家に住む雌猫の三毛子は大事にされているので、羨んでいるようなシーンもある。
だが実際に漱石邸で飼われていた吾輩のモデルになった猫は、専用の扉などからしてかなり可愛がられていた様子が窺える。
もしかしたら漱石も、「今日もかわいいでちゅね〜、フワフワでちゅね〜!」と言っていたかもしれない。
明治村には、明治時代の建築物が沢山移築されていて、古民家や歴史好きには堪らない世界観となっている。
明治時代の建築物は基本的に釘を使わない、伝統工法で建てられている。これはホゾ穴と呼ばれる穴を柱にノミで彫り、凹ませる。そこにピッタリ合うよう凸を加工し組み立てる。
伝統工法で作られた木組みの家は、解体してまた別の所で組み立てる事が出来るのだ。
ちなみに、消防署のマークは刺股だが、なぜ刺股かというと、江戸時代は現代と違って水が貴重だったため、火事が起こるとその家を高速で解体して延焼を防いで消火していたから、解体道具として刺股が使われていたそうだ。
フランク・ロイド・ライトが作った帝国ホテルの玄関も移築されている。ここにはマリリン・モンローがハネムーンで泊まったり、チャーリー・チャップリンが来日した際に宿泊した。
木組みではなく石組みだ。長い歳月を要したであろう。
中はスキップフロアのような作りで、高さを変える事で緩やかに空間を仕切ってある。
ゴールデンカムイでも出てきた網走監獄も移築されている。
建物の移築や維持管理にはお金がかかる。常に綺麗な庭園を保つため庭師部隊も居るので、入場料は大人2500円する。
それだけ見所も満載なので、払う価値は十分にあると思うが、安く入場したいなら夏に開催している宵の明治村がおすすめだ。
浴衣を着て行くと半額で入場できる。
花火も上がるし、プロジェクションマッピングなども開催される。
明治村にはハイカラ衣装館という、明治のコスプレが楽しめる所もある。5分で1100円だ。
私は定期的に明治村に行きたい病を発症するので、写真が沢山ある。
特におすすめなのは建物をガイドしてくれるツアーに参加する事だ。普段は入れないところまで案内してくれる。
明治村は一丁目〜五丁目まであり、かなり広い。
だがこのガイドは次の開始まで10分で次の建物まで移動したりの過密スケジュールになるため、全部参加するのは大変だ。
他にも、謎解きイベントもやっている。
初級、中級、上級などあるが、プロに依頼して作っているようで初級でもかなり難しい。
地図が苦手なのに方位磁針と分度器を渡されて、結構すぐに後悔した。ム、ムズイ…。
しかも一丁目〜五丁目まで縦横無尽に次の行き先を指定される。
これは1日乗り放題の明治村バス(500円)をケチらずに買っておくのが無難であろう。
次の日に筋肉痛になったりもするが、明治村はとても楽しい。子供も楽しいが、大人になるとより楽しい。
重要文化財に指定されている建物も沢山あり、ここに夏目漱石が暮らしてたんだ、とか、マリリン・モンローもここを歩いたのかな、と歴史に想いを馳せるのもいとをかしだ。
愛知に来たらぜひ明治村を訪れてみて欲しい。
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