運転 is 人生?
私は10年近くペーパードライバーだった。
私には運転のセンスがないんだと思っていた。
なにしろ教習所のアタリも悪かった。
優しくて丁寧と評判の教官は車庫入れのとき
「ここの教習所はこのポールのところでハンドル半分回せばいいから!」
と他で使えない裏技を教える始末だったし、
卒業検定では左折で縁石に乗り上げたのに、
おまけで合格をもらった。
こうして私は曲がれない、車庫入れできないドライバーとして野に放たれてしまった。
「意味無いゴールド免許」
「高級身分証明書」
と家族に揶揄されながらも
仕事はデスクワークだし、実家住まいだし、
それでも支障なかった。
そんな私がこの度ペーパードライバー講習を受けることにした。
「旅行のとき運転できたら楽だよなぁ」
くらいは思ったことがあったが、だんだんと
「週5で働いてるのにこのままじゃ週末にスーパーでまとめ買いできないじゃん」
「子供の塾とか送り迎えどうするの?」
など近い将来車がないと生活に困るよね?という気持ちが頭をもたげてきたからだ。
「ブレーキとアクセルって左右どっちですか?」
講習初日、私は真剣にブレーキとアクセルの位置を尋ねるほどひどい有様だったが、それでもほんの2時間後には路上で運転できるようになった。
ペーパードライバー講習はすごい。
免許証がただの身分証化している人がいたら
多少値段ははるけれど、
ペーパードライバー講習、おすすめである。
「見てる方向にしか車は動かない」
「遠くを見て、前の車ばかり見つめない」
「行けるかどうか、決めたら迷っちゃダメ」
6日間の講習中で、私がよく言われたことだ。
目の前のことばかり見て悲観しないとか、
あなた優柔不断なところあるよねとか、
あれ?どれも言われたことがあるような……。
これってもしかして人生にも通じているのではないだろうか?
つい最近、右折しようと右折レーンにいたのにやっぱりやめて直進したら対向車と正面衝突したというニュースを耳にした。
これを聞くと、事故を起こした人は実生活でも、たぶんいろんなことを無理やり押し通る人生を送っていたんじゃないだろうかと思う。
運転を習いに行って、
人生を学ぶとは思わなかった。
先日、隣に母を乗せて車を運転した。
免許取りたてのとき、
「怖い怖い怖い!!!」
と隣で絶叫していた母からも
「上手くなったね」
とお墨付きをもらった。
人生も運転も、一歩前に進めただろうか。
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