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エッセイ

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わたしの世界の見え方
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#空

どうして「月がきれいですね」なのだろう

”I love you”の日本語訳を「月がきれいですね」とした夏目漱石の逸話は有名だけど、わたしはずっと「意味がわからない……」と思っていた。ところが、ある瞬間、わたしなりに すとん と納得してしまった。 どうしてこの言葉が「愛している」になるんだと思う?と友人に聞くと、「月はきれいだけど、あなたの方がきれいです、ってことかな」とか、「月は女性の象徴だから、相手を月に例えて、間接的に伝えているんじゃないかな」と答える人が多い。 他にもいろんな考え方があって、例えば「同じ月

恋に「落ちる」

人を好きになる、といっても色々ある。 一目惚れをする人、だんだん好きになっていく人、初めから「いいな」と思っていた中から選抜していく人…(あはは) わたしの場合は、恋に「落ちる」瞬間がある。友人にそう言うと、意外と共感を得られないのだけれど、恋に落ちる(fall in love)という言葉があるのだから、きっと同じ感覚を持っている人がどこかにいるんだと、思っている。 一目惚れはしない。恋をしてしまうのは、だいたい一年以上知っている人。それまで一度も、「もしこの人と付き合

星たちに慰められる夜

ずっと行ってみたかった「砂漠」へ行った。 空がとても広かった。砂漠と星空の組み合わせは、切ないくらい綺麗で素敵だった。もしここに住んでいたら、サボテンや星にたくさん慰められるのかなあ、なんて思った。 それから、ちょっぴり不安になった。夜空には星があまりにもたくさんあるから、あの中の星から空を見上げたら、地球もそのうちの一つにしかすぎなくて、見つけられないんじゃないかって。 そうしたらわたしは、故郷さえも見分けられないことや、どこに向かって手を振ったらいいのかわからないこ