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旅気分を盛り上げる即興音楽BGMと共に、記事をお楽しみ下さい♪

ミュシャとは

「ミュシャ?猫の名前?」

「まさか!画家だよ、画家!」

美術が好きな先輩のおかげで、私は初めてこの画家の不思議な名前を知ることが出来た。

プラハに行く途中、添乗員さんがプラハで訪れたい場所を聞いてくれている時、この画家の名前を出した先輩がいた。
「ミュシャ美術館に、行きたい!」
「ミュシャ美術館も、いいですよね。急ぎ足で、間に合わせましょう」
「あ、猫の名前みたいな、画家の名前だ!」
心の中でその名前を思い出したものの、この画家に特別な興味は湧かなかった。

見所だらけの、プラハ旧市街

さて、カレル橋を渡り切り、私達は旧市街の中心地、フラチャニ広場から見えるプラハの全景にうっとりしていた。

「なんだか、このウィーン音楽セミナーのハイライトに、ふさわしい景色ですね……」

「ウィーンが、どっかに吹っ飛んでんじゃん!でも、ウィーンに引けを取らないなぁ、ここ……」

なんだかんだで、先輩も私に同意見のようだった。ただ、このフラチャニ広場は序章に過ぎず、まだまだ歴史的かつ個性的な建物は、私達を魅了し続けてくれた。

旧王宮や黄金小路でも、相当な時間を費やした。
黄金小路では、カフカのファンだった先輩が特に大喜びしていた。
「“変身“、みんなで読んで感想送りあおっか!」
当時、私はまだ日本文学と英米文学しか興味がなかったが、こうしてヨーロッパ文学の扉を、先輩達が開いてくれたのだった。

1300年頃に建てられたという旧市庁舎では、塔に登るのも1つの楽しみのようだった。
「毎日食べ過ぎてるから、ダイエットしよっか」
「階段いいですね!登りましょ」
らせん階段はスピーディーに上がると目が回ったが、新鮮だった。
頂上からは、たくさんの教会の塔が見渡せ、より中世にタイムスリップした気分が味わえた。
旧市街の塔から降りて散策を続けていたら、存在感のある教会が私達の目の前に迫って来た。

聖ヴィート教会で印象に残ったもの

「チェコを代表する教会、聖ヴィート大聖堂ですよ。ヴァーツラフ広場で見た、あのヴァーツラフが建てた傑作です。入りましょう!」
添乗員さんに導かれ、その偉大な大聖堂に私達は足を踏み入れた。
秋になりかけていたとはいえ、まだまだ日差しは強くステンドグラスに反射して、教会の中は色とりどりの光で輝いていた。

「綺麗……万華鏡の世界みたい!」
「近くで見ても、綺麗ですよ」
私達は、引き寄せられるようにそのステンドグラスに近づいた。
「真ん中にいる男の子は、聖ヴァーツラフです」
「チェコはどこも、“ヴァーツラフ“がベースになってるんですね」
「はい。で、この聖ヴァーツラフのモデルになっているのは、ミュシャの息子さんです」
「ミュシャって、あの画家の……?!」

まさか、こんなチェコを代表する教会で、猫の名前のようなミュシャが出て来るなんて、失礼ながら意外だった。
「はい。このステンドグラスは、ミュシャによって制作されたんですよ」
「そうなんですか!」
「ミュシャが猫じゃなくて、偉大な画家さんだって言ったの、本当だったでしょ?」
「はい……いや、次元が違いますね。もっとこの人の絵、見たいです!」
「おっ!森さんも、美術が好きになって来るかもしれないですね」
私のリアクションに笑いながらも、ミュシャが好きな先輩達や添乗員さんは、私とミュシャの出会いを喜んで下さった。

絵に興味がない人ほど、美術館が好きになる?!


残念ながら、ミュシャ美術館はタイムオーバーで入館することが出来なかったが、このミュシャとの出会いによって、私は絵画、美術の魅力をより知ることができた。

美術にあまり興味のなかった私が、このミュシャとの出会いをきっかけに、ヨーロッパ各地の美術館を訪れるようになり、ウィーンでは世界でも有数の「ウィーン美術史博物館」の一年チケットを買い、毎月美術館に定期的に通うことになるとは。
素晴らしい絵画との出会いとは、人の人生を本当に豊かにしてくれる。

この時、しきりにミュシャの魅力を語り、そして聖ヴィート教会のステンドグラスの説明をして下さった、音楽セミナーの先輩と添乗員さんに、感謝そのものである。

「美術館?画家?つまらないし、よく分からない!」
そう言っている人にこそ、インパクトのある絵画と運命的な出会いをしてもらいたいと思う。

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