イタリアン11その7 ヴェニス名物克服のキーパーソン?!
旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪
ショパンやトーマス・マンも楽しんだ?!ゴンドラ遊覧
その後のヴェニス観光も、楽しいことだらけだ。
ガイドさんに教えてもらったアイスカプチーノを飲めたり、ゴンドラ遊覧も楽しめた。
ゴンドラから見るアドリア海は、手で触れてしまう程の近さだ。
こうしてアドリア海を周遊している自分達は、まるでショパンやトーマス・マンのような気分だった。
ため息橋を通って運河を進み奥に行くと、今までの華やかな雰囲気とはまた違う、迷路の様な小路や庶民的な家が姿を表す。
「ヴェニス、こんな一面もあるんだね」
「景色がゆらゆら左右に揺れて、気持ちいい!」
ショパンの「バルカローレ」がよく似合うこの感覚と景色を肌と目で感じ、焼き付けておこうと思った。
バロック貴族になり切ってのディナー
ディナーは、フォーマルな雰囲気のレストランで、私達はバロック時代の貴族になったような気分で食事をしていた。
「もうすぐメイン料理だよ」
「イカ墨パスタだった?うわ……食べられないし」
私は、みゆにささやいたつもりだったが、ツアーの人達も私達の会話を楽しんでいたようで、次々と会話に加わって下さる。
「もったいないわよ〜あなた!ここはヴェニスよ!」
「そ……そうですか?」
「イカ墨パスタはヴェニスの代表料理だし、一口だけでも食べてみたらいいよ!」
「そうそう!あのウェイター、あなたが美味しそうに食べるのジッと見てるから、パスタも食べてあげなきゃかわいそうよ」
フォーマルな服装で上品に仕事をしながらも、初々しさが残るウェイターは、まだ食事が終わっていない時から、
「美味しい?」
「このソースも加えてみる?」
と、何度もみゆと私の所に来て、食事の評価を確認していた。
「パルフェット!(完璧)」
と覚えたてのイタリア語で答えると、とても喜んでくれていた。
いよいよ、ヴェニス名物料理が
イカ墨パスタは、そんなウェイターによって運ばれて来た。
「美味し〜い!」
「今まで食べた中でも、最高ね!」
「やっぱり、日本人用にアレンジされてない方が、結局は合うんだわ」
みゆや同じテーブルの人々が次々とパスタを口に運んでいる間も、私はその黒いパスタと睨めっこをしていた。
パスタを口にするか最後まで迷っていたが、ふと顔をあげると、初々しいウェイターと目が合った。
大きな瞳をこちらに向けたまま、ウェイターは右手を動かし「食べてみて?」というような仕草をしてくる。
ウェイターに促され、思い切って……
恐々と、まずは一口。
「えっ。見かけに寄らず、美味しい!」
「でしょ〜!どんどん行っちゃえ!」
みゆやテーブルの人達にも喜ばれ、そこからはすごい早さで食べ切ることが出来た。
みゆも私も、せっかく綺麗に塗ったピンクのグロスも、念入りに磨いた歯も真っ黒クロスケ状態になっており、お互いを見てはクスリと笑ってしまう。
そこに低い笑い声も混じりハッとすると、初々しいウェイターがお皿を取りに来てくれていた。
「パスタ、食べてくれたんだね!僕、ハッピーだよ」
その笑顔は、あどけなく可愛い。
ダークブラウンの短髪、スラッと縦に伸び切った背、少々垂れ目気味の大きな目は愛らしく、優しげなテノールの声を持つこのウェイターを、テーブルの人達は、新婦さんも含め気に入ったようだった。
「好青年よね〜、彼」
「あの子、あなたがイカ墨パスタを一口食べるの、真剣に見てたわよ」
「理菜ちゃんがイカ墨パスタ克服できて、私達までなんか嬉しい!」
初々しいウェイターは、その後も食べ物の説明や感想を聞きに、3分に1回位の頻度でテーブルに来て、テーブルの皆を喜ばせた。
最後はフォーマルなレストランだけあり、丁寧で厳かな見送り方だったが、みゆと私が出て行く時は小さい声で
「チャオッ!」
と言い、控えめに手も振ってくれた。
とてもキュートだ。
同年代だから出来ることーそれは、いつの時代もあると思う。
その後イカ墨パスタが出ると、食べられるきっかけをくれたこの時のメンバーと、初々しいウェイターのことを思い出す私だった。
夕暮れも雰囲気たっぷりの、ヴェニス
夕暮れのサンマルコ広場もすごい賑わいで、私達は満足感でいっぱいだった。
「夕方はハトも少なくない?やっと、前を見て歩ける!」
みゆも、ついにハトに邪魔されずサンマルコ広場をゆったり眺められるのが、嬉しそうだった。
ヴェニスー華やかで美しい街。
そして、時間が止まった様な街だった。
「また絶対来ます!」
みゆとそうヴェニスに告げ、私達は本島を後にした。
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