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アカデミック読書会(第37回)- 世界経済と世界帝国の分岐点 -
読書会概要
1月13日(木)、20:00〜21:30、オンラインにて、アカデミック読書会(第37回)を開催しました。参加者1名、ファシリテーター1名で開催しました。
前回に引き続き、課題本は、フェルナン・ブローデル『地中海I』「第I部 環境の役割 第3章 地中海の境界、あるいは最大規模の地中海」、テーマは、「環境と人間との関係とは何か?」です。前回までは、一般的に理解されている地理的範囲の「地中海」の話でしたが、今回は、サハラ砂漠、中央ヨーロッパ、大西洋へと、地中海の範囲が拡大します。
なぜ、ブローデルが、地中海の範囲を広げたのか? 疑問に思うところです。地中海が孤立した地域ではなく、周辺の諸地域と交流があったこと、その交流が、世界経済のはじまりであることを、示したかったのではないかと考えます。人や物の流れをみれば、地中海の範囲は地理的な範囲よりも広大です。
ブローデルは、こう述べます。
十五世紀半ばの緩慢だが力強い発展がはじまるとき、その発展から利益を引き出すのは、大陸的であると同時に海洋的でもあるイタリアの体制である。ヴェネツィア、ジェノヴァは当時イギリスならびにフランドルの市場の支配者である。
地中海はジェノヴァ人を通してスペインの堂々たる財政を握り、またいわゆるブザンソンの定期市を通してヨーロッパにおける資本の動き全体を頂点で握っているのだ。
今回の読書会で、長い16世紀は、世界経済と世界帝国の分岐点であることに気づきました。ご参加されたかたには、厚く御礼申し上げます。
読書会詳細
【目的】
地理的に大きな範囲が人間に及ぼす影響の取っ掛かりを知りたい
どうして、ブローデルは、地中海の外に目を向けたのか、を知りたい
【問いと答えと気づき】
■Q
境界をここに決めた理由は何か? 特に東側について
■A
ロシア側が人がいないところがあり
トルコ人が侵入→交流が途絶した
■気づき
ブローデルは、ヨーロッパ人としての地中海を考えている
ブローデルは、山があっても街道があったら、同じ世界と考えている
■Q
どうして、ブローデルは、地中海の外に目を向けたのか?
■A
人間が地域を決めるから
交通路
貿易
外とつながっていたから
大西洋の反映は、地中海に恩恵を与える
■気づき
地中海と外の世界の関係が見たかった
【対話内容】
■世界経済と世界帝国
環境は価値観を決める→行動のモードを変える
地理学者や地質学者とは、異なる境界線の引き方をする
ブローデルは、世界帝国を描いた
世界帝国は、地球を分けていた
世界経済は、つなげようとしていた
ブローデルは、切り取った世界の分析である感じがする
ブローデルは、人の動きと貿易を見ている
物質的に満足するという観点では、世界経済でなくてもよい
16世紀は自然の制約を受けた→貿易でカバー→欲しいものは作れるようになる→産地を選ばなくなった
商業から工業:産地の制約が取れた
生きていく上での制約条件が減った
産業革命によって、有機経済ではなく、無機経済になった
交通網が広がっていた
ウォーラーステインは、ブローデルのあとの世界を描いた
■なぜブローデルは過去を描いたのか
未来の話を書くのに、今を書かなければならない、今を書くのに、過去をかかなければならない
プロは根拠を示して書かなければならない = 過去を書かなければならない
■長い16世紀の地中海と経済
離れた人のコンタクトは、最初は言葉が通じない→やがて通じるようになる
ブローデルの地中海の時代には、世界経済の基盤が整っていた(交通網)
ヨーロッパには、山賊・海賊が多かった
ウォーラーステインの(述べている)時代に、国家が強くなった→その裏には豊かさがある
地中海は、ジェノヴァ人を通してスペインの財政を握る
地中海は、ブザンソンの定期市をとおして、ヨーロッパの資本の動き全体を頂点で握っている
【気づきと小さな一歩】
■気づき/学び
人間同士の交流の価値観を作る→(それは)異なるものと接するからだ
個人間では当たり前だったけれども、文明間でもそうだ
■小さな一歩
新しいものと接するために、監視資本主義の読書会に参加する
次回の読書会のご案内
開催日時・場所:2022年1月27日(木)20:00~21:30 @ZOOM
テーマ:環境と人間との関係とは何か?
課題本:フェルナン・ブローデル著、浜名優美訳『地中海I 環境の役割』「第4章 自然の単位 ― 気候と歴史」
詳細・申込み:
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