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無意識にIPPONとってる人たちと、AIにはきっととってかわられない素敵なお仕事
福井県立図書館著『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』を読んで。
読む場所にはご注意を🏋️
この本、一見電車移動中やちょっとした待ち時間に読むのにちょうど良さそうで、あまりに罠。家で読んで本当によかった。(一人で笑い声を漏らしながら、肩を揺らしながら読んだ)
腹筋を鍛えたい場合は、外で笑いを堪えながら読むのがちょうど良いかも。筋トレ中の方はマスクをしてぜひ。でも、マスクからはみ出るほどに顔を歪めながら、ときおり小刻みに肩を震わせている人がいたら、ちょっと怖い。日頃の筋トレの成果でその肩がごつかったりしたら別の意味でも怖い。ブックカバーをしていなかったら、面白くて笑いをこらえているんだな、一体どんなに面白い本なんだ?といい宣伝になるかも。
マスクをして、ブックカバーはせずにぜひ。
正解を見る前からもう面白い誤タイトルもあれば、正解を見て面白さが爆発的に増す間違いもあった。大真面目に司書さんに向かって「〇〇ありますか?」と尋ねている様子を想像するとなおさらおかしい。
...ここだけの話、不謹慎ながら私はQ.41にツボってしまいました。『〜〜の魔法』というやつです。ネタバレにならないよう具体的な記載は控えますが(この本、ビニールで閉じられていました)、読まれたみなさん、Q.41、笑いましたよね??
図書館の思い出🪄
昔、母と一緒に近所の図書館へよく行った。ハリー・ポッターシリーズが家になぜか3巻までしかなく、4巻以降は図書館で借りて読んだ。(父母よ、よくそこまで読んで続きを買うのやめられたね??)
読み終えた本をカウンターに返却して、「次の巻お願いします!」と言うと、司書さんが奥の書庫から分厚い辞書みたいなハリポタシリーズの続きの巻を持ってきてくれた。それを持ち帰ってはあっという間に読み切り、数日後にまた図書館へ、という日々を送った。「もう読み切ったの!速いね〜」なんて言われたりしながら。たしか小学校四年生か五年生の頃。
思い返せば、司書さんと"会話"を交わしたのは、このときくらいだと思う。表の本棚にハリポタシリーズがなかったか、お目当ての巻がなかったかで、母と一緒に司書さんに尋ねたところ、何らかの理由で書庫に保管しているとのことだった。分厚くて場所をとるからとか、人気ですぐに借りられてしまうからとかだったっけ?理由は忘れてしまった。カウンターで読了本と続きの本の"交換会"を行いながら、私も司書さんもにこにこしていた記憶がある。
いつからか、図書館は勉強する場所になってしまい、司書さんと業務連絡的なやりとり以外の会話を交わすこともなくなった。
でもこの本を読んで、こんなにもたくさんの面白い会話が図書館で繰り広げられてきたのか、と驚いた。大人になっても、無邪気に間違えながら質問していいんだ、と心の中で何かがほぐれた。
司書という仕事🗣️
後ろの文章パートを読んで、司書という仕事についても理解が深まった。レファレンスサービスについて知ることができた。断片的な情報しかわからなくても相談してよいと明記してくれていて、図書館が、司書さんが身近に感じられるようになった気がする。
最後のページで、AIの発達と司書という仕事の未来について言及されていた。たしかにいずれ、どんなに断片的な情報や、ところどころ間違えている不確かな記憶からでも、AIが正しい本をスムーズに導き出してくれるようになるかもしれない。だとしても私は、その図書館に一人でも司書さんがいるなら、優秀なAIを搭載した検索機がいくつあったとしても司書さんに声をかけたいと思う。
確信犯的にクイズを出題するような気持ちでこんな本ありますか?と挑むつもりはないけれど、もしも。図書館にいて、ふと目に入った本から連想して読みたくなった本があって、タイトルはうろ覚え、検索しようにもスマホの充電が切れていた、何だっけ〜気になる〜なんてことがあったら。(限られたシチュエーションすぎる)
勇気を出して、司書さんに声をかけてみよう。
私:あの...すみません。探している本があるんですけど、タイトルが思い出せなくて。
司:どんな本でしょうか?
私:たしか、どこかの図書館が発行している大喜利集みたいな、いや、大喜利じゃなくて、本のタイトル間違えちゃった図鑑みたいな。表紙に何とも言えない表情の白ねこがいたと思います。
司:もしかして...「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」じゃないでしょうか?
私:は!それです!ありがとうございます!
司:はは...たしかにあれはほぼ大喜利集ですね。
速くて正確。そんな便利さ以上に、おかしな間違いを一緒に笑い飛ばせたり、目的の本を見つけられた喜びを共有できたりする、そんなあたたかさに、大きな魅力を感じる。
この本を衝動買いした私の直感に、IPPON!(?)
クスッとしたい、図書館や司書さんについて知りたい、色んな本の入口となる基礎知識をたくさん得たい、本屋さんや図書館が好き、本が好き!という方におすすめしたい一冊(ISSATSU)です📘