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「ゲストハウスのヘルパー記」瀬戸内海が広がる島で1ヶ月半の古民家生活。
2023年師走。
10ヶ月ぶりに引っ張り出したLサイズのキャリーバッグと共に新幹線へ乗り、初の広島県へ。
東京方面に向かうことが多いから、新大阪ー広島はあっという間。寝る間もなく到着。
広島駅からまた30分電車に乗り、呉駅へ。
今回お世話になるオーナーと合流して、呉駅からバスに乗ること40分。
着いたのは倉橋島という、橋を渡って来れる島。
道路沿いは真っ青な瀬戸内海が見晴らせる、海好きな私にとって夢のような場所。
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今回の滞在理由は、古民家ゲストハウスでのヘルパー。
ゲストハウス界隈では住み込みで運営を手伝うメンバーをヘルパーと呼ぶ。
分かりやすくいうと、“部屋の清掃やゲストチェックイン、交流、案内だったりを住み込みでお手伝いしている人”という感じ。
お手伝いといっても、オーナーの方向性や宿のコンセプトで大きく左右すると思う。
今回お世話になったゲストハウスは、単なる宿ではなく、とにかくコンセプト軸がしっかりしていて、感性や宿運営がヘルパーをしながらも学べるような場所。
そして自分で考え動くことを常に頭においておける場所。
似ているけど、ゲストハウスとシェアハウスは延長線上ではないと感じた。
私は、3軒の大型シェアハウス生活と業務を通じてコミュニティという言葉が好きになった。
ゲストハウスでも感覚は同じだと思っていたけど、大型シェアハウスでの感覚とは違うって思うような瞬間がいくつかあった。
住まいと宿の違いを少しずつ理解していくような感じ。
活かせると思えたのは、人と人の交流を促すような役割、相手ごとの話題決め、ちょっとしたスルースキル。
そして限られた輪に縛られないコミュニケーション能力だった。
語らえる人々との時間が好きだった。
訪れるゲストや、同じようにお手伝いで来ているメンバーには旅好きや経験豊富な人が多い。
ここで出会う人々との話題はテレビ番組や流行ドラマについては少なく、価値観や人生経験についてだったりが多かった。
私は友人・仕事相手問わずバチバチ炎を燃やしながら話すのがめっちゃ好き。
本気で話すときは全身に血が巡るのを感じて干からびそうになりながら、気力を使い果たすのが長所であり短所。(笑)
貴重な環境に来たのだからいろんな人と価値観や経験談をシェアしたい!という気持ちは強かった。
お互いを話す時間は、この宿に泊まった価値の一つだと思うし、話し合う時間が私も好きだった。
ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないけど、“コミュニケーション”が好きだから自然と得意分野になったし、忖度せずコミュニケーションをとれる人が好きなんだと思う。
むずかしいことはなくて、美味しいとか、嬉しいとか、経験談をシェアし合っているだけなんだから。
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来る前に掲げた目標は、料理での還元と充実した旅のサポート。
ヘルパーが活かせる分野は人それぞれ違う。だからこそ補填し合える。
私は、料理で人と人をつなげるのが好き。
交流の中心に手料理があったら喜んでくれたし、他のメンバーが作ってくれた日には私もとっても嬉しかった。
地域の人に食材を頂いたり、買い出しを手伝ってくれた人への還元は、いかに美味しい料理を作るかということだった。
ゲストや地域の人から、料理のセンスを褒めてもらえることは本当に嬉しかった。
口に合えばそれでよかったのに、工夫や振る舞うレベルまでかけた努力は、料理を初めて食べてもらう人へも伝わっているんだと嬉しくなった。
これまでは知人に振る舞ってきたので、0からの関係で手料理を喜んでくれることに感謝が溢れました。
そしてもう一つ、充実した旅のサポートは“お互いを知ること”または“一緒に楽しむ”として設定。
全てのゲストと充実した時間を過ごせたかというとそうではなかったけど、ゲストが笑顔で帰っていく姿や直接お礼を伝えてくれた日は本当に嬉しかった。
シェアハウスのような数ヶ月単位で付き合う仲の感覚でいると、あっという間に旅立ってしまう。
なので「急すぎるかな?」と思う勢いでイベントに誘ったり、話題を振ってみたりもした。
チェックインと島の紹介は用意されたプリントを使えば誰にでもできる。(いかに自分色で話すかは別だけど。)
私が考える旅の充実とはなにか、答えはコミュニケーションだった。
短期間でいろんな人の笑顔や感動に関われて嬉しい。少しは旅のお手伝いができたかな。
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振り返れば贅沢な試練でもあった。
海や船が当たり前のようにすぐ側にある部屋。
貝殻や水産が数メートル毎に並んでいるバス通り。
最初は旅行気分だったけど、10日くらいで生活になった。
1ヶ月半のうち、島から出たのは4回。
(もちろん移動の制限はないけど、交通便の悪さも相まってあまり出なかった。)
もともと動的な性格の私は、建物・景色・椅子…いろいろ含めてずっと同じ空間にいるのがめちゃくちゃ苦手。
人好きなくせに、グループ行動を10代でやめた人間です。(笑)
なので、大好きな海を見ながらリフレッシュしている日もあれば、ビルや人が多い街が恋しくなる日もあった。
ゲストハウスや地域の人との交流を楽しむ時間もあれば、生活リズムはマイペースだったり、一人の時間がないと息が詰まってしまう。
(なぜか飛行機は長時間乗れてしまうし、スイッチ入ったら同じ場所から動かないこともある…。今のような執筆時間とかね。)
そんな自分の性格をワクワクでかき消していたので、ゲストハウス×島暮らしが試練だった。
狭い距離感での魅力を発見したり、出費を抑えて身近でできる楽しみを発見したり。
特に、道行く人と当たり前に挨拶をするのは心の豊かさを感じた。
マイペースな性格を、広い心で理解してくれる人もいた。
正直に本来の自分を伝えることで、リスペクトしてもらえることもあった。
試練と書くと苦しそうだけど、そうではなくて。
この機会を借りて結果として自分事にできた、ありがたいことなんですよ。
1ヶ月半の滞在で得られたことは多いし、幸せ者の自分を知る機会となった。
結論として、やっぱり自分は運がいい。
長々と書いたように(書ききれないほどに)たった1ヶ月半で発見できることが多かった。
都会や転々と住居を変える暮らしに疲れて、いろいろ放棄したいタイミングだったのかもしれない。
リモートワークに変えて、たった3ヶ月目のことだった。
偶然見つけた記事をきっかけに行動を起こしてみたら、古民家ゲストハウスをお手伝いする機会を作り出せた。
どこにいても支えてくれている友人や家族がいる。
ホームシックになったわけじゃないけど、慣れない環境での不調は度々起きた。
そんなときに友人や家族のメッセージや声を聞いて元気になった。
私は愛情に満ちた人に恵まれて生きてきたんだな。
けっこう省エネして過ごしていた(得意の盛り上げ役みたいなのはセーブしていた)のに、人間性を理解してくれたり、長所を伝えてくれる人と出会えた。
同じように私も心豊かな人たちに学ぶことが多かったし、今後も学ぶべきことが山積みだった。
どんな環境でも互いをリスペクトできる人に出会えるんだと知った。
なぜ明るい人間と言われるかというと、周りの人が明るいからだ。
優しい人がいるから、優しいと言われる。
温かい人がいるから、温かいと言われる。
陽の部分は、不器用で出しきれないものが周りによって照らされている。
読書や勉強、楽器、散歩、睡眠、入浴に使える時間が多かった。
触らなかったものを触って、読まなかった本を読んで、学ばなかったことを学ぶための余暇があった。
余暇は感性を磨くチャンスだった。
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本から学んだ自分自身の変化。
ゲストハウスには激選された本が並んでいる。
そしてすぐ近くに市民図書館もある。
私はそこまで読書が得意ではないから、積極的に読書をする時期とそうでない時期がある。
余暇を使って読書をしていると、自分自身の変化を見つめる感覚になった。
まるで今の自分を書いているみたいだな。
数年前まではこういう本が好きだったけど今は違うな。
今まで学ぼうと思わなかった内容だけど読むと夢中になったな。
今の私にはこの文章は冷たく感じて読み進められないな。
本の内容を鵜呑みにしていたけど、今は自分なりに解釈して読めるな。
執筆が好きになったことも相まって、好きな言葉遣いや文章構成もなんとなく見分けるようになっていた。
自分の好みばかりで選んでいると偏ってしまうから、人に渡された本や直感で手に取った本を読んでみるのもいい。
読書は自分を変えるためのインプットってイメージがあるけど、この期間に読んだ本は変化している自分を教えてくれる感じだった。
まぁ、要はインプットなのかな。(笑)
瀬戸内海が広がる島で1ヶ月半の古民家生活。
経緯はシンプルだったけど学びと気づきに溢れていた。
毎日考える時間があって、毎日海を見ていた。
年末年始にこんな体験ができるなんて恵まれていますね。
もしも街や人に疲れていたり、遊び心を見失っていたり、なんかいろいろ放棄したい気持ちになっていたとしたら、身一つで旅立ってみてほしい。
「上手く弾けないけど音が鳴る楽器がおもしろいなんて、子どもみたい?」
そんなの恥ずかしくないと思えるようなマインドになれるかもしれないから。(笑)
美味しい野菜、お酒をありがとうございました。
困ったときに手を差し伸べてくださってありがとうございました。
滞在でお世話になった全ての皆さんに感謝します。
お読みいただきありがとうございました!