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町田樹「若きアスリートへの手紙」
アスリートでも、ましてやフィギュアスケーターでもないのになぜか気になって手に取ってしまった一冊。
すばらしき言語能力と哲学的な分析に唸りっぱなしでした。
コツをつかむ方法、スランプからの脱出、ライバルの存在などアスリートなんかじゃなくても、自分の立場や環境に置き換えて捉えてみるとヒント満載です。
最終章「感動は与えられない」は至極納得。
アスリート自らが軽々しく合言葉のように発する「感動を与えたい」発言にはずっと違和感があって、へそ曲がり傾向のある自分は、そんなの与えてもらわなくても感動したい時に感動しますわ、と思っていた。
もちろん素晴らしい試合や競技や個人の技を見て興奮はするけれど、それは自らの中から湧き上がるもので、与えてもらうものではありません。
ほれ、感動して、なんて事前に言われてしまうと拒否感が優ってしまうイヤな性格なんです。
おそらく自分のなかにあるそうした拒否感は、スポーツというものをなんらかの形で利用しようとしている人たちの姿が見え隠れしているからだと思います。
「感動を与える」への違和感をアスリート自身が、オリンピア自身が冷静に分析して説いているのは興味深く、今や研究者としての町田樹さんが気になる一人となりました。